沖縄県立北部農林高等学校

沖縄県名護市字宇茂佐に校舎を構える沖縄県立北部農林高等学校は、農業分野を中心に専門的な学びを提供する県立高等学校です。100年以上の長い歴史を持つ伝統校であり、地域に根ざした教育を展開しています。

沿革

本校の歴史は明治時代に遡ります。1902年（明治35年）4月13日、国頭郡各間切島組合立農学校として設立されたのが始まりです。その後、時代の変遷と共に名称や所在地を変えていきます。1911年（明治44年）には沖縄県立国頭農学校となり、1916年（大正5年）には嘉手納へ移転し、沖縄県立農学校と改称されました。1923年（大正12年）には沖縄県立農林学校となりますが、1945年（昭和20年）、沖縄戦により惜しくも廃校となりました。

戦後、教育の復興が進む中で、本校は1946年（昭和21年）1月28日に北部農林高等学校として再出発を切ります。当初は名護農業試験場と併設されていましたが、1949年（昭和24年）2月5日には現在の名護市へと移転しました。その後も学科の拡充や改編を重ね、1956年（昭和31年）には定時制課程に農業科を新設。1958年（昭和33年）には農産加工科（後の食品製造科）を設置しました。沖縄の本土復帰に伴い、1972年（昭和47年）には沖縄県に移管されます。平成に入ってからも学科の再編は続き、1989年（平成元年）には農業科を廃止し、熱帯農業科と園芸工学科を新設。翌1990年（平成2年）には林業科を林業緑地科に、生活科を生活科学科に、食品製造科を食品科学科へと改編し、定時制課程には単位制を導入するなど、常に時代の変化に対応した教育体制を構築しています。

教育課程と学科

北部農林高等学校には、全日制課程と定時制課程が設置されています。

全日制課程

全日制には、農業分野の専門性を深める特色ある学科が設けられています。

熱帯農業科: 日本国内で唯一設置されている学科であり、沖縄の気候風土を活かした熱帯・亜熱帯地域の農業技術や資源について専門的に学びます。
園芸工学科: 花卉、野菜、果樹などの栽培技術に加え、造園や環境緑化に関する知識・技術を習得します。
林業緑地科: 森林の育成や保全、緑地の計画・管理に関する専門知識を学び、林業や緑地空間の創造・維持に携わる人材を育成します。
生活科学科: 豊かな生活の実現を目指し、衣食住や保育、福祉など、生活に関わる幅広い分野を学びます。
食品科学科: 食品の製造、加工、衛生管理、栄養など、食品に関する科学的な知識と技術を習得します。

定時制課程

定時制課程には農業科が設置されており、働きながら学ぶ生徒や多様なライフスタイルを持つ生徒に対し、農業に関する基礎から応用までの知識と技術を習得する機会を提供しています。

部活動

学業だけでなく、部活動も盛んに行われています。多くの運動部と文化部があり、生徒たちはそれぞれの興味や目標に向かって活動しています。特に、レスリング部や演劇部などは優れた実績を上げています。

運動部: レスリング部、駅伝部、野球部、バスケットボール部（男子・女子）、バレーボール部（男子・女子）、テニス部、サッカー部、ラグビー部、空手道部（男子・女子）、相撲部、ダンス部
* 文化部: 生物研究部など

特色ある活動とエピソード

本校ならではの取り組みとして、熱帯農業科では沖縄の在来豚であるアグーの遺伝資源としての保存・維持活動に力を入れています。また、このアグーを用いた交配によるF1（チャーグー）の作出にも取り組んでいます。これは、希少な地域資源の保全と活用という点で特筆すべき活動です。

文化活動においては、2008年の沖縄県高等学校演劇研究大会で最優秀賞を獲得し、九州大会に出場。優良賞を受賞するという輝かしい成績を収めています。また、スポーツ分野では、レスリング部が2008年11月時点で沖縄県高等学校新人体育大会の団体の部で19連覇を達成するなど、強豪として知られています。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、名護バスターミナルからは徒歩で約5分の距離にあります。また、琉球バス交通または沖縄バスの65番（本部半島・渡久地）線を利用し、「北濃前」バス停で下車すると、徒歩約1分で学校に到着できます。

著名な卒業生

北部農林高等学校は、様々な分野で活躍する多くの卒業生を輩出しています。プロボクサーの江藤光喜氏、バンドグループ「アフロマニア」、EM開発者で名桜大学教授の比嘉照夫氏、ウイルス学者の根路銘国昭氏、今帰仁村長の与那嶺幸人氏、伊江村長の大城勝正氏、オリオンビール元常勤相談役の外間政吉氏、大相撲力士の宮乃風陽関など、学術、スポーツ、芸術、政治、経済界で貢献している人材がいます。

まとめ

沖縄県立北部農林高等学校は、歴史と伝統を受け継ぎつつ、熱帯農業科をはじめとする特色ある専門教育を通じて、地域社会の発展に貢献する人材を育成しています。学業、部活動、地域との連携など、多岐にわたる活動を通じて、生徒たちは豊かな高校生活を送り、将来への礎を築いています。

（本記事は、沖縄県立北部農林高等学校の公開情報に基づいて作成されています）

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