沖縄銀行 (明治大正期)

沖縄銀行は、1899年（明治32年）に沖縄県で初めて開業した私立銀行です。この銀行は、旧琉球王家の尚家や首里士族といった、当時の沖縄における有力者たちが中心となって設立されました。この設立背景から、沖縄銀行は、本土の華族が設立した十五銀行（華族銀行）に相当する存在として、県内において特別な地位を占めていました。

開業時の資本金は15万円であり、当初は「沖縄商業銀行」と一時的に改称された時期もありましたが、その後、元の「沖縄銀行」という名称に戻されました。尚家からの出資を受けていたため、沖縄銀行は県内において非常に高い信用度を誇り、他の私立銀行を大きく圧倒していました。これは、十五銀行が華族社会で信頼されていたのと同様の状況です。

しかし、大正末期に日本全体を襲った不況の波は、沖縄銀行の経営にも深刻な影響を与えました。その結果、1925年（大正14年）に沖縄銀行は解散を余儀なくされ、その歴史に幕を閉じました。その後、沖縄産業銀行、那覇商業銀行と合併し、戦前の沖縄県において唯一の銀行となる「沖縄興業銀行」へと再編されました。沖縄銀行の解散は、沖縄の金融界にとって大きな転換点であり、その後の沖縄興業銀行の設立へと繋がる重要な出来事でした。

関連事項

尚家: 沖縄銀行の設立に深く関与した旧琉球王家。
尚順: 尚家の一員で、沖縄銀行の設立にも関わった人物。
士族: 沖縄銀行の設立を支えた首里士族。
十五銀行: 本土の華族が設立した銀行で、沖縄銀行の設立背景を理解する上で参考になる。

もう一度検索