沖縄関係戸籍事務所

沖縄関係戸籍事務所について

沖縄関係戸籍事務所は、1948年（昭和23年）10月1日に、当時の法務庁福岡司法事務局（現在の法務省福岡法務局）の出張所として設置されました。この事務所は、米軍占領下にあった沖縄県の市町村に代わり、戸籍に関する事務を管掌する役割を担っていました。

設置の背景

第二次世界大戦後、沖縄県はアメリカ合衆国の統治下に置かれました。これにより、日本の戸籍法第1条に定められた「戸籍事務の管掌者」としての市町村長の権限が一時的に失われることとなりました。そのため、沖縄県に本籍を持つ人々の戸籍に関する事務を円滑に行うために、沖縄関係戸籍事務所が設立されたのです。

主な業務内容

沖縄関係戸籍事務所の主な業務は以下の通りでした。

戸籍届書の受理: 沖縄県内の人々からの戸籍に関する届出（出生届、婚姻届、死亡届など）を受理しました。
戸籍の管理: 沖縄県に本籍を持つ人々の戸籍を管理しました。特に、本土在住の沖縄県出身者の戸籍管理は、この事務所が担当しました。
戸籍事務の交流: 当初は、沖縄県と本土間での戸籍届書の相互交流が認められていませんでしたが、1958年（昭和33年）7月1日からは、この交流が認められるようになりました。これにより、沖縄関係戸籍事務所は、それまで保管していた届書を琉球政府に貸し出し、処理を開始しました。また、1963年（昭和38年）からは、同事務所が管理する戸籍の副本を交付するようになりました。

廃止とその後

1972年（昭和47年）の沖縄返還（復帰）に伴い、沖縄県の市町村長が再び「戸籍事務の管掌者」となったため、沖縄関係戸籍事務所は廃止されました。同事務所の業務は、沖縄県の各市町村役場へと引き継がれ、現在に至っています。

関連事項

沖縄関係戸籍事務所に関連する事項として、以下のものがあげられます。

琉球住民: 沖縄県に居住していた人々を指し、彼らの戸籍管理は沖縄関係戸籍事務所の重要な役割でした。
戸籍: 日本の国民の身分関係を登録・公証する制度で、戸籍事務は沖縄関係戸籍事務所の主要な業務でした。
アメリカ合衆国による沖縄統治: 沖縄関係戸籍事務所の設置は、この統治体制下での特殊な事情によるものでした。
臨時戸籍: 沖縄の復帰前に、沖縄の住民のために特別に設けられた戸籍です。
戸籍整備法: 戸籍に関する法整備に関するもので、沖縄返還後の戸籍事務にも影響を与えました。
法務省／法務局: 沖縄関係戸籍事務所が所属していた行政機関です。
琉球政府: 米軍統治下の沖縄における自治政府であり、戸籍事務においても関係がありました。
福岡沖縄県事務所: 沖縄県関係の事務を扱う、福岡県にあった行政機関です。
小笠原関係戸籍事務所: 同じく占領下にあった小笠原諸島の戸籍事務を扱った事務所です。

沖縄関係戸籍事務所は、沖縄の歴史における特殊な時期に、住民の戸籍事務を円滑に進めるために重要な役割を果たしました。その存在は、沖縄が辿った歴史を語る上で欠かせないものです。

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