琉球住民

琉球住民とは

琉球住民とは、アメリカ合衆国による沖縄統治時代に、沖縄に本籍を置いていた日本国民を指す言葉です。この言葉は、当時の琉球政府が管轄する戸籍に登録された人々を指し、琉球人と呼ばれることもありました。

定義

琉球政府章典第3条によれば、琉球住民とは「琉球の戸籍簿にその出生及び氏名の記載をされている自然人」と定義されていました。ここでいう「琉球の戸籍簿」とは、琉球政府の管轄下にある戸籍簿のことであり、当初は沖縄県（琉球諸島）と鹿児島県大島郡（奄美群島）の戸籍簿が含まれていました。しかし、奄美群島が日本本土に復帰した後は、沖縄県の戸籍簿のみが琉球住民の対象となりました。

「出生及び氏名の記載をされている」とは、本籍として記載されていることを意味し、琉球政府の管轄地域に居住しているかどうかは関係ありませんでした。そのため、外国籍の人々や、琉球政府の管轄外に本籍を持つ日本国民は、たとえ琉球に住んでいたとしても琉球住民とはみなされず、参政権を得ることはできませんでした。

本籍と転籍制限

日本の戸籍制度では、日本国内であれば本籍地を自由に選ぶことができますが、琉球に本籍を移すためには琉球列島米国民政府の許可が必要であり、帰化申請に準ずる手続きが必要でした。これは「転籍制限」と呼ばれていました。

琉球住民の権利

琉球住民は、琉球政府の統治下において、参政権などの権利を有していました。琉球政府の選挙に投票したり、琉球政府の公職に就任することができました。しかし、琉球住民の権利は、アメリカの施政権下にあったため、日本本土の住民とは異なる制約がありました。

琉球住民の消滅

1972年の沖縄返還に伴い、「琉球住民」という概念は消滅しました。琉球政府も廃止され、沖縄は日本の一部として再出発しました。

国際法上の地位

国際法上、琉球住民の国籍は、アメリカ施政権下の小笠原諸島の欧米系島民と同様に「日本」のままでした。日本本土において、琉球住民の公民権が制限されることはなく、琉球住民であった大田政作（前行政主席）や安里積千代（前立法院議員）は、沖縄返還前の1965年に実施された第7回参議院議員通常選挙に出馬しています。

関連項目

参政権
琉球処分
尖閣諸島
沖縄関係戸籍事務所
沖縄人民党
沖縄赤十字社
極東放送
日韓併合/日本統治時代の朝鮮/朝鮮籍
* 大東亜共栄圏

もう一度検索