沙面島

沙面島（さめんとう）

沙面島は、中国広東省広州市にある人工島です。19世紀後半、イギリスとフランスによって租界が設けられ、異国情緒漂う独特の景観が形成されました。

歴史

アロー戦争後、イギリスは広州に居留地を建設しようとしましたが、反英運動によって妨げられていました。そこで、珠江の一部を運河で切り離し、人工島を造成。1862年にイギリスとフランスの租界として完成しました。島の西部はイギリス、東部はフランスが管轄し、領事館や外国企業のオフィスが立ち並びました。

特徴

島の中央には沙面大街が東西に走り、その南北に沙面北街と沙面南街が並行しています。かつては「イギリス橋」「フランス橋」と呼ばれる2つの橋が本土との唯一の接続路でしたが、現在は複数の橋が架けられています。島の南側には沙面公園が広がり、市民の憩いの場となっています。

かつての租界

租界時代、沙面島は厳重な管理下に置かれていました。中国人の居住は制限され、夜間の出入りも原則禁止。警備が厳しく、「武装居留地」とも呼ばれていました。イギリスとフランスはそれぞれ行政委員会を設け、税金を徴収して租界の運営を行っていました。電力や通信は中国側から供給され、水道や下水道などのインフラはイギリス租界のみに整備されていました。

租界内は緑豊かで美しい景観が保たれていました。道路の両側には街路樹が植えられ、公園やグラウンドも整備。イギリス、フランス、ドイツ、日本、アメリカなどの領事館や企業が多数進出し、国際的な雰囲気が漂っていました。

租界の終焉

1930年代、蔣介石による北伐や反英運動の影響で、イギリスは中国各地の租界を手放しましたが、沙面租界は維持し続けました。しかし、太平洋戦争が勃発すると、日本軍が沙面租界を接収。その後、汪兆銘政権が米英に宣戦布告すると、日本は租界の行政権を中国側に移管し、1943年に沙面租界は中国に返還されました。フランスも同様に租界を返還し、80年以上にわたる租界の歴史に幕を閉じました。

現在

現在、沙面島は広州市の重要な観光地となっています。異国情緒あふれる建築物群は保存され、1996年には全国重点文物保護単位に指定されました。レストランやカフェ、ショップなども多く、多くの観光客で賑わっています。広州地下鉄6号線の文化公園駅が最寄り駅です。

アクセス

• - 広州地下鉄6号線 文化公園駅

沙面島は、歴史と文化が融合した魅力的な場所です。広州を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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