沢原為綱

沢原為綱：公共事業と地方発展に尽力した政治家

沢原為綱（さわはら ためもと）は、1839年に安芸国安芸郡荘山田村（現在の広島県呉市）で生まれ、1923年に没した日本の公共事業家、政治家です。彼は広島県における多額納税者であり、その地位に基づいて貴族院議員にも選出されました。また、崇徳銀行の頭取や広島県農工銀行の取締役を歴任するなど、実業家としても手腕を発揮しました。

生涯と業績

沢原為綱は農業を営む傍ら、広島県農工銀行の創立に深く関与しました。1878年には安芸郡長に任ぜられ、地域の発展に尽力。所得税調査委員も務めるなど、行政面でも貢献しました。

1890年、沢原為綱は広島県多額納税者として貴族院議員に互選され、同年9月29日から1897年9月28日までその職を務めました。貴族院議員としては、大阪築港、小樽築港、広島市の上水道敷設など、重要な公共事業の推進に尽力しました。これらの事業は、地域のインフラ整備と経済発展に大きく貢献しました。

人物像と家族

沢原為綱は浄土真宗を深く信仰していました。長男の俊雄に家督を譲った後、彼は静かな環境に身を置き、悠々自適の生活を送りながら仏道に専念しました。彼の住まいは呉市荘山田にありました。

沢原家の家族構成は以下の通りです。

妻：コト（1843年 - 1922年、宮原弥次郎の二女）
長男：俊雄（1865年 - 1942年、商業、農業、貸地貸金業を営み、呉市長、貴族院議員、広島県多額納税者、大地主としても活躍）
孫：亮吉（1888年 - ?）

長男の俊雄もまた、父の跡を継ぎ、地域社会に大きく貢献しました。呉市長や貴族院議員を務め、広島県の発展に尽力しました。

まとめ

沢原為綱は、公共事業の推進や地域経済の発展に貢献しただけでなく、信仰心の篤い人物としても知られています。彼の功績は、今日の広島県の発展の礎となっています。

参考文献

松本徳太郎編『明治宝鑑』松本徳太郎編、1892年。
梅田正勝編『全国多額納税者互選名鑑』溝口摂弥、1898年。
成瀬麟、土屋周太郎編『大日本人物誌 : 一名・現代人名辞書』八紘社、1913年。
東洋新報社編『大正人名辞典』東洋新報社、1917年。
人事興信所編『人事興信録 第6版』人事興信所、1921年。
衆議院、参議院 編『議会制度七十年史 第1』大蔵省印刷局、1960年。 
田口稔『沢原俊雄伝』呉同済義会、1961年。
* 上田正昭ほか 監修『講談社日本人名大辞典』講談社、2001年。ISBN 4062108496。

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