河井昭司

河井 昭司 氏の生涯

河井 昭司（かわい しょうじ、出生名：河井 昭時）氏は、1949年（昭和24年）11月11日に広島県広島市で生を受け、2018年（平成30年）7月26日にその生涯を閉じた元プロ野球選手です。現役時代は主に外野手としてプレーしました。

高校野球での輝き

地元広島の強豪、広陵高校に進学した河井氏は、野球部で中心選手として活躍しました。3年生となった1967年の夏には、中堅手としてチームの守備を支え、また四番打者として打線を牽引し、全国高校野球選手権大会に出場しました。チームはエース宇根洋介投手（後に近畿大学、電電中国でプレー）らの活躍もあり快進撃を続け、決勝戦へと駒を進めました。しかし、決勝の相手である習志野高校との試合では、石井好博投手と醍醐恒男捕手からなるバッテリーの前に打線が抑え込まれ、惜しくも敗退。全国準優勝という素晴らしい成績を残しました。夏の甲子園終了後、8月末からはチームメイトだった宇根投手らとともに、全日本高校選抜の一員としてハワイおよびアメリカ西海岸への遠征に参加するなど、アマチュア野球界で大きな注目を集めました。

プロ野球への挑戦

高校での活躍が評価され、1967年のプロ野球ドラフト会議において、地元の広島カープから3位指名を受け入団。プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。

カープでは主に二軍で研鑽を積みましたが、1971年にはウエスタン・リーグの試合で、当時のリーグ記録に並ぶ8打席連続安打という偉業を達成するなど、非凡な打撃センスを見せつけ、将来の活躍が期待されました。しかし、残念ながら一軍のレギュラーとして定着するまでには至りませんでした。

1972年のシーズン終了後、プロ野球では初めて行われた第3回プロ野球選抜会議、いわゆるトレード会議の対象選手となり、ヤクルトアトムズへ移籍することとなりました。新たな環境での再起を図りましたが、ヤクルトでも一軍での出場機会を得ることは難しく、目立った成績を残すことはできませんでした。そして、1974年シーズンを最後に、プロ野球選手としての現役生活にピリオドを打ちました。

引退後の人生と球界との繋がり

現役引退後の河井氏は、広島市西区福島町に自身が経営する焼肉店「かわい」を開業しました。この店は、多くのプロ野球関係者から愛される憩いの場となりました。古巣である広島カープの選手はもちろんのこと、ヤクルト時代の関係者、さらにはセ・パ交流戦などで広島を訪れるパシフィック・リーグの選手たちも、数多く「焼肉かわい」に足を運んだと言われています。選手たちは、河井氏の人柄に触れ、野球談義に花を咲かせ、しばしば悩みの相談などもしていたようです。

引退後も野球界との縁は深く、後輩選手たちの面倒見も良かったことで知られています。例えば、怪我の影響でプレーできない辛い時期を過ごしていた広島カープの天谷宗一郎選手（当時）は、自身のブログで河井氏から電話で温かい激励を受けたエピソードを明かしています。また、海を渡りメジャーリーグに挑戦した高橋建投手（当時）にとっても、河井氏は親身になって相談に乗ってくれる、頼れる存在だったといいます。

長年にわたり多くの野球人に慕われた「焼肉かわい」でしたが、河井氏が2018年に亡くなり、さらに翌年には奥様も死去されたことから、一度はその歴史に幕を下ろしました。しかし、この店を愛し、存続を願う地元の人々が立ち上がりました。NPO法人「KKC」が設立され、その活動により、2019年4月には「焼肉かわい」は無事に再開店を果たし、再び多くの人々が集う場所となっています。

背番号

広島カープ時代: 53 （1968年 - 1972年）
ヤクルトアトムズ時代: 41 （1973年 - 1974年）

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