河南府

河南府は、中国の歴史において、現在の河南省洛陽市一帯に設置された重要な行政区画です。その歴史は唐代に始まり、民国初年に廃止されるまで、およそ1200年以上にわたり存在しました。以下に、その変遷を詳細に記述します。

唐代

河南府の前身は、隋代の河南郡、そして唐初には洛州でした。713年（開元元年）、唐朝は洛州を昇格させ、河南府としました。さらに742年（天宝元年）には、この地は「東京」とされ、政治的にも重要な地位を占めることになります。東京河南府は河南道に属し、以下の26県を管轄していました。

河南県
洛陽県
偃師県
鞏県
緱氏県
告城県
登封県
陸渾県
伊闕県
伊陽県
寿安県
新安県
福昌県
澠池県
長水県
永寧県
密県
河清県
潁陽県
河陽県
汜水県
温県
河陰県
陽翟県
済源県
王屋県

この時期の河南府は、政治、経済、文化の中心として繁栄を極めました。

五代十国時代から北宋

五代十国時代に入ると、後梁や後晋といった王朝が河南府を「西京」と定め、その重要性を継承しました。北宋もこの流れを引き継ぎ、西京河南府は京西北路に属しました。この時期には、管轄する県が16県と阜財監に再編されました。

河南県
洛陽県
偃師県
鞏県
永安県
新安県
密県
福昌県
伊陽県
澠池県
永寧県
長水県
寿安県
河清県
潁陽県
登封県
阜財監

金代

金代になると、河南府は南京路に属し、管轄範囲は以下の9県4鎮となりました。

洛陽県
偃師県
宜陽県
登封県
鞏県
芝田県
孟津県
新安県
澠池県
龍門鎮
緱氏鎮
洛口鎮
長泉鎮

1217年（興定元年）には、河南府は「中京」とされ、金昌府と改称されました。

元代

元朝が成立すると、金昌府は再び河南府の名称に戻されました。その後、河南府は河南府路に昇格し、河南江北等処行中書省に属しました。この時期の管轄は、以下の通りです。

録事司
洛陽県
偃師県
宜陽県
永寧県
登封県
鞏県
孟津県
新安県
陝州（以下は陝州に属す）
陝県
霊宝県
閿郷県
澠池県

明代

明朝が成立すると、1368年（洪武元年）に河南府路は河南府に戻されました。河南府は河南省に属し、以下の1州13県を管轄しました。

洛陽県
偃師県
宜陽県
永寧県
登封県
鞏県
孟津県
新安県
澠池県
嵩県
盧氏県
陝州（以下は陝州に属す）
霊宝県
閿郷県

清代

清朝時代も河南府は河南省に属し、以下の10県を管轄しました。

洛陽県
偃師県
宜陽県
永寧県
登封県
鞏県
孟津県
新安県
澠池県
嵩県

中華民国

1913年、中華民国により河南府は廃止され、その長い歴史に幕を閉じました。しかし、その名は現在も河南省洛陽市周辺の地域を指す名称として、歴史の中に深く刻まれています。

河南府は、唐代から清代、そして中華民国初期まで、その時代時代の政治、経済、文化の中心として重要な役割を果たしました。その変遷は、中国の歴史を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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