河合満

河合満（かわい みつる）

日本の技術者、会社役員であり、トヨタ自動車株式会社のExecutive Fellowを務める河合満氏（1948年1月2日生まれ）。そのキャリアは、技能職出身でありながら、トヨタ自動車の副社長や執行役員CMOといった要職を歴任したことで特筆される。また、日本プラントメンテナンス協会の会長、愛知県公安委員会委員長も務めるなど、多岐にわたる分野で活躍している。

生い立ちとキャリア

愛知県西加茂郡挙母町（現在の豊田市）出身の河合氏は、幼少期に父親を亡くし、経済的な理由から中学校卒業後、トヨタ技能者養成所（現・トヨタ工業学園）に入社。学費を得ながら技術を学ぶ道を選んだ。1966年に同養成所を卒業後、トヨタ自動車工業（現・トヨタ自動車）に入社し、鍛造部に配属された。現場での経験を積み重ね、本社工場鍛造部部長、副工場長を経て、2013年には技監に就任。2015年には技能職出身者として初の専務役員に抜擢されるという異例の経歴を持つ。その後、2017年には副社長、2020年には執行役員CMOを歴任し、2021年からはExecutive Fellowとして活躍。

現場主義

河合氏の特筆すべき点は、その徹底した現場主義である。副社長就任後も、本社ビルの副社長室ではなく、長年慣れ親しんだ鍛造現場で執務を続けている。これは、「勘が鈍る」という危機感から、現場との繋がりを重視する彼の強い信念によるものだ。さらに、1966年の入社以来、毎朝鍛造現場にある鍛造温泉に入浴してから出勤するという習慣を続けていることからも、その現場への深い愛着が伺える。

多岐にわたる役職

トヨタ自動車での活躍に加え、河合氏は日本経営協会副会長、中部インダストリアル・エンジニアリング協会副会長、日本プラントメンテナンス協会副会長も務め、2022年には藍綬褒章を受章。同年、日本プラントメンテナンス協会の会長に就任。2023年には愛知県公安委員会委員長に就任するなど、幅広い分野でリーダーシップを発揮している。

愛車への想い

18歳で初めて購入した車は中古のコロナであったが、冷房はおろか暖房すらも効かなかったというエピソードを語っており、その当時の苦労が偲ばれる。

略歴

1966年3月：トヨタ技能者養成所（現・トヨタ工業学園）卒業
1966年3月：トヨタ自動車工業株式会社（現・トヨタ自動車株式会社）入社
2005年1月：トヨタ自動車株式会社基幹職1級 本社工場鍛造部主査
2005年6月：トヨタ自動車株式会社基幹職1級 本社工場鍛造部部長
2007年7月：トヨタ自動車株式会社理事 本社工場鍛造部部長
2008年1月：トヨタ自動車株式会社理事 本社工場副工場長
2013年1月：トヨタ自動車株式会社技監
2015年4月：トヨタ自動車株式会社専務役員 ユニットセンターエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼車両系生産技術･製造本部副本部長
2016年4月：トヨタ自動車株式会社専務役員 工場統括
2017年4月：トヨタ自動車株式会社執行役員副社長 工場統括兼安全健康推進部担当
2019年1月：トヨタ自動車株式会社執行役員副社長 工場統括
2019年4月：トヨタ自動車株式会社執行役員副社長 総務・人事本部本部長兼工場統括
2020年4月：トヨタ自動車株式会社執行役員CMO兼CHRO
2020年7月：トヨタ自動車株式会社執行役員CMO
2021年1月：トヨタ自動車株式会社Executive Fellow
2021年7月：愛知県公安委員会委員
2022年7月：愛知県公安委員会委員長代行
2023年7月：愛知県公安委員会委員長

河合満氏は、その卓越した技術力と現場への情熱、そしてリーダーシップにより、トヨタ自動車のみならず、日本の産業界に大きな貢献をしている人物であると言えるだろう。

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