河合耆三郎

河合耆三郎について

河合耆三郎（かわい きさぶろう）は、天保9年（1838年）に播磨国高砂で生まれ、慶応2年2月12日（1866年3月28日）に29歳で命を落とした新選組の隊士です。彼の家族は裕福な蔵元で、米問屋を営んでいました。そのため、彼は比較的恵まれた環境で育ちました。彼が新選組に入隊したのは、妹が大阪で商家に嫁いでいたことがきっかけであり、その推薦により入隊を果たしました。なお、この背景により、彼に関する情報が一部「大阪出身」とされる原因となっています。

河合は新選組の中で勘定方を務め、主に隊の経理に携わりました。彼の業務は特に隊費の管理や経理が中心であり、精力的に任務をこなしていました。彼は池田屋事件に参加し、その功績として褒賞金を受け取る場面も見られました。このような活動は、新選組の隊士としての彼の立場を強化する要因となったと言われています。

しかし、彼の運命は慶応2年（1866年）2月に急変します。この月に彼は切腹を命じられ、その理由についてはさまざまな説が存在しています。まず、近藤勇の妾である深雪太夫の身請けに関しての費用捻出が進まなかったという説がありますが、時期の整合性が薄いため、信憑性はさほど高くないとされています。さらに、他の芸妓の身請けに関する話が経理の失敗につながったとの説もあり、経理責任者としての彼の立場に影響を及ぼした可能性があります。

また、近藤の女性関係に起因する浪費について問題を指摘したために排除されたという見方や、何らかの資金流用があった上での粛清とする説も語られています。その他にも、反乱工作を企てたために露見したとの説や、単純に私用で資金を使い込みしたためとする説もあるなど、様々な憶測が飛び交いました。

興味深いことに、河合は切腹を免れるために資金を親元から借り入れようと試みたものの、実家での騒動のために送金が遅れてしまったとの説もあります。こうして、切腹直後にようやく資金が届く事態となり、親は大変な怒りを覚えたと言われています。その後、河合の供養のために、彼の墓は新選組が立てたものとは別に、壬生寺に立派なものが建てられました。

河合耆三郎に関する作品もいくつか存在しています。代表的なものに1969年の東宝映画『新選組』、また2004年に放送されたNHK大河ドラマ『新選組!』があります。これらの作品は、彼の人生や新選組の歴史を知る上での貴重な情報源となっています。彼の切腹の背景や、その後の供養の様子などは今でも多くの人々の記憶に残るエピソードです。

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