河和海軍航空隊

河和海軍航空隊について

河和海軍航空隊（こうわかいぐんこうくうたい）は、日本の海軍において重要な役割を果たした部隊であり、また整備に特化した教育機関のひとつでした。太平洋戦争の激化に伴い、急激に増加する整備要員を効率的に育成する目的で設立されました。特に、実際に航空機の整備に従事する兵士や下士官を対象とした教育が中心となっており、これにより日本軍の航空機整備能力を向上させることが目指されました。河和海軍航空隊は、相模野と出水に続く整備訓練航空隊として、独立した形で設立され、成長していったのです。

第一河和海軍航空隊

第一河和海軍航空隊は、愛知県知多郡美浜町の古布地区に位置し、ここでは整備教育のための施設が約2年かけて構築されました。この隊は、元々追浜海軍航空隊から分派したもので、高い専門性を持つ整備員の教育が行われていました。追浜が幹部養成を主眼に置いているのに対し、河和隊では実務に即した普通科練習生の教育に特化していた点が特徴的です。

設立の経緯

• - 昭和18年（1943年）

- 4月1日、追浜海軍航空隊知多分遣隊が設置されます。
- 12月1日には独立し、「河和海軍航空隊」が正式に開隊され、連合練習航空総隊隷下の第十八連合航空隊に編成されることとなりました。

• - 昭和19年（1944年）

- 2月1日、岡崎分遣隊が設置され、さらに4月1日には岡崎分遣隊が独立し、岡崎海軍航空隊が誕生します。

• - 昭和20年（1945年）

- 3月1日、第一河和海軍航空隊に改称されます。戦局が悪化する中で、最後には横須賀鎮守府第二十連合航空隊に転籍され、戦後間もなく解隊されました。

この基地では多くの整備教育生徒が学び、最盛期には9000人を超える生徒が在籍していたと言われています。ただ、戦争による物資不足や教育課程の凍結といった課題も抱えていました。

主力機種

第一河和海軍航空隊では、各種機材を活用した訓練が行われていましたが、実践的な運用に供される機体は保有していませんでした。

第二河和海軍航空隊

一方で第二河和海軍航空隊は、水上機に特化した訓練を行う部隊として設立されました。小松島海軍航空隊の増員に応じる形で設立され、異なる目的のために機能する二つの河和航空隊が誕生したのです。両隊の間にはほとんど交流はなく、第一隊は整備教育に専念し、第二隊は主に水上機の搭乗訓練に従事しました。

設立の経緯

• - 昭和18年（1943年）

- 12月1日、知多分遣隊が設置。

• - 昭和19年（1944年）

- 4月1日に独立し、「第二河和海軍航空隊」が開隊され、各種水上機を使用した練成訓練が行われるようになりました。

この隊も強風や二式水上戦闘機などを使っての迎撃訓練を行い、最盛期には実戦的な運用も経験しています。特に、B-29爆撃機に対する迎撃や神風特攻隊の編成といった重要な活動にも参加しました。
最後には、多くの部隊と共に終戦を迎えることとなり、解隊されました。

戦後の動き

河和航空隊の設立に伴い、古布の住民は基地造成のために強制的に移転させられましたが、その後移転先に定住することになりました。基地の跡地は農地として利用されるようになり、戦後の村人たちにとって新たな生活基盤となりました。

また、過去の整備工場は紡績工場として活用され、河和基地の施設は地域産業に組み込まれることとなりました。ただし、水上機用スリップは民間で活用されることがなく、その名残を今に伝えています。

関連項目

• - 大日本帝国海軍航空隊一覧
• - 参考文献

- 『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版、2003年）
- 『航空隊戦史』（新人物往来社、2001年）
- 『日本海軍航空史2』（時事通信社、1969年）
- 『戦史叢書　海軍航空概史』（朝雲新聞社、1976年）
- 『連合艦隊海空戦戦闘詳報別巻1』（アテネ書房、1996年）

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