河回村

河回村（ハフェマウル）

河回村は、韓国の慶尚北道安東市に所在する、農村の生活様式を色濃く反映した集落です。この村は、伝統的な両班（ヤンバン）文化を維持していることで知られ、韓国の重要な観光地の一つとして評価されています。「マウル」という言葉は朝鮮語で「村」を意味します。村全体は、国の重要民俗文化財第122号に指定され、多くの有形及び無形文化財が存在しています。また、河回村は2010年にユネスコの世界遺産に登録されました。

村の概要

行政的には安東市の豊川面河回里に位置し、村の名前は、花川（洛東江上流）が大きく屈曲する場所にあることを示しています。三方を川に囲まれ、南には南山、北には絶壁の芙蓉台が立ちはだかっています。特に、川の対岸にある芙蓉台からの村の眺望は非常に美しいと評判です。

河回村は16世紀に豊山柳氏によって創設され、その後も同族が住み続けており、現在の住人約180戸のうち70%は豊山柳氏に属しています。この一族は、朝鮮王朝中期には著名な儒学者で政治家である柳雲龍と柳成龍を輩出しました。彼らの住居であった養真堂や忠孝堂などの瓦葺きの古い建物や藁葺きの家々が数多く保存されており、両班の生活様式を見ることができます。

また、河回村には特有の仮面劇である河回別神クッが伝承されており、使用人の視点から両班を風刺した内容が特徴です。この劇は大韓民国の重要無形文化財第69号に指定され、使用される仮面は国宝第121号に指定されています。これにより、河回村は文化的な価値が非常に高い地域とされています。

1984年には村全体が重要民俗文化財に指定されて以来、国賓を含む多くの訪問客がこの村を訪れています。例えば、1999年にはエリザベス2世女王が、2005年にはブッシュ元大統領がこの村を訪問したことがあります。

世界遺産としての登録基準

河回村の世界遺産登録は、以下の基準を満たしています。これにより、この村は世界的にもその重要性が認められています。

(3) 現存または消滅した文化的伝統や文明の、特異で貴重な証明であること。
(4) 人類の歴史の中で重要な時代を示す建築様式、建物群、技術の集積や素晴らしい景観の例であること。

このように、河回村はその歴史的、文化的な価値により、韓国の中でも特に注目されている地域となっています。その美しい景観、伝統的な建築物、そして独特の文化は、訪れる人々に深い感動を与えています。

参考文献

• - 『朝鮮民族を読み解く - 北と南に共通するもの』 古田博司 著（ちくま新書）ISBN 978-4480089038

また、河回村にゆかりのある人物として、著名な韓国の歌手リュ・シウォンやリュウ・ヒジュンが挙げられ、彼らは柳成龍の末裔であり、実家がこの村にあります。

河回村は、韓国の深い文化と伝統を知るための魅力的なスポットです。ぜひ訪れて、その独特な雰囲気を体感してみてください。

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