洛東江

洛東江（らくとうこう）

洛東江は韓国の主要な河川であり、全長525kmを誇ります。その流域は23,384 km²に及び、朝鮮半島の東部を南北に走る太白山脈から始まり、大邱市や釜山市を貫流した後、朝鮮海峡に注ぎます。この河川は、慶尚北道、慶尚南道を中心に全羅北道や全羅南道、江原特別自治道の一部も流域に含まれます。洛東江という名前は、駕洛国（現在の金海市）の東に位置していることに由来しています。

流域の概要

この河川の源流は、江原特別自治道太白市の咸白山（標高1,573m）にある黄池です。流域には安東市の大邱盆地を通り、釜山西方で南海に流れ込む過程があります。また、頴江、琴湖江、密陽江、南江といった支流が洛東江に合流します。主な平野は上流の安東盆地、中流の大邱盆地、下流の慶南平野がありますが、河川の傾斜度が緩やかなために氾濫原はあまり発達しません。金海平野を含む金海デルタの周辺では、稀に大規模な平野が見られます。流域には1969年に南江ダム、1976年に安東ダムが建設されています。

自然環境

金海デルタには乙淑島（ウルスク）があり、これは大韓民国指定の天然記念物第179号として認定されている自然保護地域です。この島は多くの渡り鳥が訪れる重要な生息地としても知られています。さらに、慶尚南道昌寧郡には牛浦湿原があり、ここでは貴重な生物が生息するほか、渡り鳥にとっての安全な休息所となっています。

歴史的背景

洛東江の流域には新石器時代の遺跡が多く存在し、古代には三韓の一つである弁韓もこの地域に存在したと考えられています。時代が進むにつれて、この地域は伽耶、さらには新羅に支配され、洛東江は海を介して日本との重要な水上交通路としても利用されました。高麗時代や李氏朝鮮時代においても、洛東江は慶尚道を結ぶ主要な交通路としての役割を果たしてきました。

朝鮮戦争の初期には、洛東江が北朝鮮軍に対する米韓軍の自然の障壁となりました。1950年には、北朝鮮軍の侵入を防ぐために慶尚北道の倭館邑にあった橋が爆破されるなど、戦争の影響を受けました。また、2020年には慶尚南道昌寧郡で堤防が決壊し、住民が避難する事態も発生しています。

環境問題

洛東江は地域の水資源としての重要な役割を果たしている一方で、家庭や農業からの排水による水質汚染が問題視されています。1984年から1985年にかけて、流域環境保全のための総合計画が策定され、1991年や1994年、2008年には工場からの汚染事件が相次いで確認されています。これらの状況は、河川の生態系に対して深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

支流

流域における主要な支流として、南江、琴湖江、黄江が挙げられます。これらの支流も洛東江の重要な生態系の一翼を担っています。

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