河岡潮風

河岡潮風の生涯と業績

河岡潮風（かわおか ちょうふう、1887年3月8日 - 1912年7月13日）は、明治時代の日本の作家で本名は英男です。彼は文学の道を志し、著名な作家押川春浪の弟子として様々な作品を発表しましたが、若くしてこの世を去ることとなりました。

経歴

横浜市中区の野毛町に生まれた河岡は、神戸や京都を転々としながら育ちました。1905年、早稲田大学文学部に入学。その後、同大学を卒業し、中央新聞での勤務を経て博文館に入社しました。河岡はそこで押川春浪のもとで編集助手として働き、雑誌『冒険世界』に小説やエッセイを執筆するようになります。なお、押川春浪は当時体調を崩していたため、河岡は彼の口述筆記も行うなどしました。

1909年、河岡は脊椎カリエスという重病を患い、以降の人生は病との闘いに捧げられることとなります。そんな中で、彼は6歳年下の作家内藤千代子と特別な関係を築くようになります。この関係は恋愛と師弟の要素が混じったもので、河岡にとって大事な存在となったことでしょう。

『冒険世界』と『武侠世界』の対立

1911年11月、押川春浪が博文館を退社するきっかけとなる「野球害毒論」を巡るトラブルが起こります。この退社が引き金となり、押川は新たに「武侠世界社」を設立し、同誌が『冒険世界』の対抗馬として創刊されました。『冒険世界』に残った河岡と阿武天風は、他のメンバーから裏切り者と見なされ、激しい非難にさらされることとなります。

河岡はこの非難に対して一切の弁明をすることはありませんでした。彼の真意や思惑は死後も不明のままでした。しかし、阿武は後に押川への信頼と愛着から『冒険世界』に留まり続けたことが理解され、和解も進んだようです。河岡は博文館の社員であり、転籍が容易ではなかったことも影響していると指摘されています。

最期の日々

河岡は1912年5月に自伝『五五の春』を出版しました。この作品は彼の旅路や思いを綴ったものであり、彼にとって特別な意味を持つものでした。しかし、その後脊椎カリエスに加え、脳膜炎を併発し、同年7月13日に25歳という若さでこの世を去りました。

その他の側面

早稲田大学在学中、河岡はほとんどの講義には出席せず、図書館に篭って過ごしていたと言います。やがて彼は「早稲田大学図書館卒業」と自称することになります。また、当時の成人男子が髭や帽子を常識としていた時代に無帽・無髭主義を貫き、脊椎カリエスの影響で木刀を杖として使用していた姿も彼の独特なキャラクターの一因でしょう。彼は弁論家としても活動し、弁論クラブ「丁未倶楽部」に参加、南極探検に際して応援演説を行うなどその多才さを発揮しました。

著作

河岡潮風の著作には以下のような作品があります:

• - 東都游学 学校評判記（1909年）
• - 冒険壮遊 五洲怪奇譚（1910年）
• - 下野那須温泉之栞（1911年）
• - 書生会名物男（1911年）
• - 快男児快挙録（1912年）
• - 五五の春（1912年）

若くして命を落とした河岡潮風ですが、彼の作品や人間性は今も多くの人々に影響を与え続けています。彼の文学的な足跡を辿ることは、明治時代の日本文学の一端を知る貴重な旅となるでしょう。

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