中央新聞

中央新聞の歴史と発展

中央新聞（ちゅうおうしんぶん）は、1891年から1940年まで東京で発行されていた新聞です。当初は1883年に創刊された小新聞『絵入朝野新聞』が前身であり、1889年に『江戸新聞』と改名された後、1890年に大岡育造が買収し、『東京中新聞』を経て、1891年8月16日に現在の名称に変更されました。

この新聞は、発行の初期から大岡育造の政治的な信念や活動を反映した内容を提供し、国民協会から始まり、帝国党、そして立憲政友会へと、その立場を変えていきました。特に、立憲政友会が伊藤博文を総裁として迎えると、中央新聞はその機関紙の役割を果たすようになりました。都内での競合新聞であった『國民新聞』は、当初は政友会の立場を支持していたものの、次第に日本帝国主義の方向性を強調するようになったのに対し、中央新聞は政友会の意向をより忠実に反映していました。1896年には発行部数が7万部、1903年には4.1万部に達し、その人気を示していました。

社屋は1905年まで銀座にあり、その後、立憲政友会本部内に移転しましたが、1919年には火災により焼失しました。再建され、移転された場所は現在の千代田区内幸町にあたります。新聞としての歴史の中で、日露戦争後の講和条件に対する不満が高まり、日比谷焼打事件では競合紙の襲撃を求める暴徒に対し、中央新聞は自重を求める論説を掲載しました。

1910年には立憲政友会が中央新聞を買収し、同社は合資会社へと改組されました。この時期の社長には元大阪市長の鶴原定吉が就任し、社屋も立憲政友会の本部に移転しました。その後、新聞は様々な政治事件を取り上げ、政治的議論の場としての役割を果たしました。1923年には株式会社に改組され、社長には野田卯太郎が就任しました。

1940年、立憲政友会が解党し、大政翼賛会が発足すると中央新聞はその運動に従い、1941年には『日本産業報国新聞』に改められました。これに伴い、杉原三郎が社長に就任し、新聞は国の政策を支持する立場を強めました。しかし、1944年5月30日をもってこの新聞は廃刊となり、政治資金規正法の影響でその後の政治団体による機関紙の発行は難しくなりました。

その他にも、中央新聞には多くの有名な社員が在籍していました。たとえば、青木槐三や石橋勘三郎、岡本綺堂といった著名な作家や、幸徳秋水、若山牧水といった歌人たちが在籍し、多岐にわたる分野から記事が提供されていました。これにより、中央新聞は多様な情報を読者に届けることができました。

最終的には、中央新聞の系譜を引き継ぐ商業新聞は戦後現れませんでしたが、その政治的影響を受け継いだ自民党は独自の機関紙『自由民主』を立ち上げました。一方、日本社会党は日刊紙『社会タイムス』を発行しましたが、こちらは短命に終わりました。このように、中央新聞は日本の新聞史において重要な役割を果たし、その影響は長く続くこととなりました。

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