河村光陽

河村光陽（かわむら こうよう、本名：河村直則、1897年8月23日 - 1946年12月24日）は、昭和時代に活躍した作曲家であり、特に童謡の分野で多くの名作を残しました。長女は歌手の河村順子です。

生涯

1897年、福岡県田川郡上野村（現在の福智町）の裕福な地主の家に生まれました。小倉師範学校を卒業後、地元の小学校で音楽教師として教鞭を執ります。しかし、彼はロシア音楽、特に国民楽派に強い関心を抱いており、1920年にはモスクワでの音楽研究を志して朝鮮へ渡りました。当時のロシアは革命後の混乱期であり、音楽に集中できる環境ではなかったため、朝鮮に留まりながら師範学校や公立学校で音楽教師として働き、機会を待ちました。

1924年に帰国すると、東京音楽学校選科（現在の東京芸術大学大学院）で音楽理論などを学びました。1926年頃から自作曲の発表やピアノ伴奏者としての活動を開始し、1929年からは竹早小学校で音楽教師を務める傍ら、数多くの楽曲を発表しました。1931年には佐藤義美の童謡詩「ほろほろ鳥」に曲をつけ、1934年には同じく佐藤が作詞した「グッドバイ」を発表し、世に知られるようになりました。

1935年4月、ポリドール・レコードの専属作曲家となり、翌1936年にはキングレコードに移籍し、河村光陽と改名しました。この頃から音楽教師を辞め、作曲に専念するようになります。1936年には山野三郎作詞の「うれしいひなまつり」が大ヒットし、翌1937年には武内俊子作詞の「かもめの水兵さん」が続く大ヒットとなりました。武内俊子とのコンビでは、「赤い帽子白い帽子」「りんごのひとりごと」「雨傘唐傘」「船頭さん」など、後世に残る数々の名曲を含む1000曲以上の童謡を作曲しました。これらの楽曲の多くは、長女である順子の歌唱によってレコードとして発表されました。

1940年の夏には、富山放送局の依頼で、河村光陽が指揮、長女の順子が歌唱、次女の陽子がピアノ、三女の博子がヴァイオリンという編成でファミリーコンサートを開催し、ラジオ放送も行われました。1938年以前から、光陽は3人の娘たちと演奏旅行を行っていました。

1946年12月24日、胃潰瘍による出血のため急逝しました。享年49歳でした。

主な作曲作品

ほろほろ鳥（1931年）（作詞：佐藤義美）
グッドバイ（1934年）（作詞：佐藤義美）
うれしいひなまつり（1936年）（作詞：山野三郎）
かもめの水兵さん（1937年）（作詞：武内俊子）
赤い帽子白い帽子（1937年）（作詞：武内俊子）
早起き時計（1937年）（作詞：富原薫）
仲良し小道（1939年）（作詞：三苫やすし）
りんごのひとりごと（1940年）（作詞：武内俊子）
船頭さん（1941年）（作詞：武内俊子）
雨傘唐傘（作詞：武内俊子）
* ハワイ撃滅の歌（1942年）（作詞：時雨音羽）

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