河東鉄道フホハ1形客車

河東鉄道フホハ1形客車について

河東鉄道フホハ1形客車は、長野電鉄の前身である河東鉄道が1922年に新たに製造した客車です。この客車は、同年6月2日の河東鉄道開業に際し、日本車輌製造の東京支店で提供されました。新製されたのは、並等客車のフホハ1形1から5号車および、並等・特等合造客車のフホロハ1形1から3号車の合計8両です。

これらの客車は、設計段階からパンタグラフやモーターを搭載可能であるように考慮されており、電車としての機能を果たす木造客車としての特長を持っています。長野電鉄設立初期からこれらの客車は改番を重ねながらも、同鉄道の主力車両として約60年もの長きにわたって運用され続けました。これらの客車は、地下化対策のために2500系に置き換えられるまで、重要な役割を果たしました。

フホハ1 - 5は、後に電動車に改造され、デハ1形1 - 5号車と改番されました。そしてその後、これら5両は形式称号が「モハ」に変更されました。モハ1 - 4については、主電動機の譲渡が行われ、それぞれモハ103、モハ203、デハニ12、デハニ13に改番されました。また、サハ360形361・362および制御車クハ50形（初代）51・52も運用され、これらの車両は鉄道の運行に大いに寄与しました。

サハ361・362は1941年に武蔵野鉄道（現在の西武鉄道）に譲渡されることになります。クハ50形のクハ52は、1960年に小布施駅近くの踏切で発生したトラックとの衝突事故により大破しました。事故後、その車体は須坂車庫に放置され、台車は该車両の仮台車として利用されました。後にクハ50形の2両はクハ1550形1551・1552に改番され、1952年から1953年の間に鋼体化されて新しい姿へと生まれ変わりました。

モハ5は、モハニ14からモハ22に改番が行われ、さらにモハ152に一度主電動機を譲渡されることになります。また、クハ54はクハニ1064と改番され、1953年には鋼体化されました。しかしその後、再びモハ1003から主電動機を受け継ぎ、電動車として復活を遂げることとなりました。さらに、モハニ1011からモハニ1031、最終的にモハ1012といった変遷を経て、フホハ1形客車は計9回にわたる改番がなされました。

このように、河東鉄道フホハ1形客車は鉄道の歴史において重要な足跡を残し、様々な改造や運用を通じて時代と共に歩んできたことがわかります。木造の客車としての魅力をしっかりと持ちながら、近代的な電車の機能も備えたこの客車は、長野電鉄の成り立ちと発展を支えた大切な存在だったのです。

もう一度検索