河西英通

河西英通（かわにし ひでみち、1953年 - ）は、東北地方の近現代史を専門とする日本の歴史学者です。現在は広島大学森戸国際高等教育学院特任教授を務めています。

経歴

1976年に弘前大学人文学部を卒業後、1979年に立命館大学大学院文学研究科修士課程を修了しました。その後、北海道大学大学院文学研究科博士後期課程に進み、1985年に単位取得満期退学。上越教育大学学校教育学部助手、専任講師、助教授を経て、1994年に「近代日本における地域思想の展開過程」で北海道大学から博士（文学）を取得しました。

2007年には広島大学大学院文学研究科教授に転じ、2011年にはカリフォルニア大学サンタバーバラ校歴史学部客員教授も務めました。2020年8月現在は、広島大学森戸国際高等教育学院特任教授として教鞭を執っています。

また、2015年に平和安全法制をめぐる法案（いわゆる「安保法案」）が国会に提出された際には、「安保法案に反対する広島大学人有志の会」の発起人として、反対運動にも積極的に関わりました。

研究内容

河西氏の研究は、五所川原市、上越市、青森県などの市史・県史編纂に携わる中で、兵事（徴兵検査事務）といった観点から東北地方の近現代史を深く掘り下げています。

特に、「東北」というイメージが、差別的な中央からの視点によって作られたものであるにもかかわらず、やがて東北の人々の自己認識へと転換していく過程に着目しています。また、「戦争遂行のための人的資源の供給地から後進地へ」とイメージが変貌したことなどを指摘し、東北と戦争の関係について考察を深めています。

主な著書

近代日本の地域思想、窓社、1996年
東北 - つくられた異境、中央公論新社（中公新書）、2001年
Tōhoku : Japan's constructed outland （英語訳：translated by Nanyan Guo and Raquel Hill）, Brill, 2016
続・東北 - 異境と原境のあいだ、中央公論新社（中公新書）、2007年
せめぎあう地域と軍隊：「末端」「周縁」軍都・高田の模索、岩波書店、2010年
「東北」を読む、無明舎出版、2011年
* 「社共合同」の時代 - 戦後革命運動史再考、同時代社、2019年

河西英通氏は、東北地方の歴史と社会に対する深い洞察に基づき、地域研究の新たな地平を切り開いています。

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