河野典生

河野典生（こうの てんせい）について

河野典生（1935年1月27日 - 2012年1月29日）は、日本を代表する小説家であり、その作品は多岐にわたっています。本名は河野典生（のりお）であり、遠い親戚に著名な作家安岡章太郎が存在しています。

略歴

河野は高知県高知市に生まれ、明治大学の仏文科に在学中から創作活動を開始しました。詩や戯曲、幻想的な小説を書き、特に戯曲「墜ちた鷹」は「三田文学」に発表され、寺山修司らと共に劇団活動にも取り組みました。彼はまた、アルバイトをしながらラジオドラマの脚本を手がけました。

1958年にはテレビの製作に携わるようになり、1959年には日本テレビの「夜のプリズム」で原作小説が採用され、これを契機に本格的な作家として活動を開始します。その後、雑誌『宝石』や『ヒッチコック・マガジン』などで短編を発表し、1960年には短編集『陽光の下、若者は死ぬ』、1961年には『アスファルトの上』を刊行しました。1963年には『殺意という名の家畜』で日本推理作家協会賞を受賞し、同じ年に生まれた高城高、大藪春彦と並び「ハードボイルド三羽烏」と称されるようになります。

以降も、1965年に発表した『危険への招待』を含むハードボイルド作品の数々を執筆する一方で、幻想的な作品にも挑戦しました。1967年には酒場で知り合った福島正実に影響を受け、『SFマガジン』に幻想的な短編を発表するなど、彼の創作スタイルはますます多彩になりました。

1974年には『街の博物誌』を発表し、代表作として知られています。河野は日本SF作家クラブに参加し、ミステリ作家としては初めてのメンバーとなりました。その後、1974年に『いつか、ギラギラする日々』が出版されるも、同じタイトルの映画が製作されたことで論争が生じました。

彼はまた、ジャズの熱狂的な愛好者であり、1975年に刊行された『明日こそ鳥は羽ばたく』にはジャズの要素が取り入れられています。特に山下洋輔との親交は深く、共著も残しました。

河野の最終作品である『翔ぶ一族』は、1992年から1994年にかけて『小説新潮』に連載され、彼の晩年には執筆活動が行われることはありませんでした。2012年1月29日、河野は嚥下性肺炎により77歳で逝去しました。

受賞歴

• - 1959年：日本テレビ「夜のプリズム」原作賞に佳作入選（作品名：ゴウイング・マイ・ウェイ）
• - 1964年：第17回日本推理作家協会賞（『殺意という名の家畜』）
• - 1969年：第62回直木賞候補（『他人の城』）
• - 1974年：第71回直木賞候補（『ペインティング・ナイフの群像』）
• - 1975年：第2回角川小説賞（『明日こそ鳥は羽ばたく』）

主な著作

河野は多くの著作を残していますが、以下はその一部です：

• - 『陽光の下、若者は死ぬ』（荒地出版社, 1960）
• - 『アスファルトの上』（光風社, 1961）
• - 『殺意という名の家畜』（宝石社, 1963）
• - 『街の博物誌』（早川書房, 1974）
• - 『明日こそ鳥は羽ばたく』（角川書店, 1975）

映画化作品

河野の作品は映画化もされており、以下のようなタイトルがあります：

• - 「狂熱の季節」（1960年）
• - 「黒い太陽」（1964年）
• - 「三匹の野良犬」（1965年）

河野典生は、文学だけでなく幅広いジャンルにわたる創作活動を通じて、日本の文化に多大な影響を与えた作家として記憶されています。

もう一度検索