河野孔明

河野 孔明（こうの こうめい、1905年10月1日生まれ、没年不明）は、昭和期に活動した日本の右翼活動家、政治ゴロ、そして政治運動家です。彼は東方会および新東方会の総裁を務めたほか、台湾守護会会長や中華民国支援日本委員会常任理事といった肩書も持ち、さらには総会屋としても知られていました。

宮崎県児湯郡の出身である河野孔明は、戦後の公職追放が解除された直後の1952年から、積極的に選挙活動に乗り出しました。当初は保守政党からの出馬を模索していましたが、その後は主に自身が主宰する政治団体である『新東方会』や無所属候補として、様々な選挙に挑戦し続けます。しかし、1976年の第9回参議院議員補欠選挙（宮崎県選挙区）においては、同郷の有田正憲が率いる『国民政治連合』から立候補した例もあります。

地元である宮崎県では高い知名度を誇り、特に参議院議員通常選挙の全国区では、共産党の公認や推薦を受けた候補よりも多くの票を獲得するなど、健闘を見せました。彼の公明選挙を訴えるスローガン「日本一 公明選挙の 河野孔明」は、彼の選挙活動を象徴する言葉でした。また、長く伸ばした特徴的な顎鬚は、彼のトレードマークとして広く認識されていました。

しかし、1970年代以降になると、東京都知事選挙や参議院議員通常選挙の全国区といった舞台では、多数の候補者の中に埋没し、上位に食い込むことは難しくなっていきました。

同じ1975年東京都知事選挙に立候補していた現代美術家の秋山祐徳太子による証言によれば、河野孔明は政見放送、選挙公報、そして立会演説会以外の選挙活動はほとんど行わなかったとされています。むしろ、彼は選挙期間中のみ有効となる交通機関の無料パスを利用して東京見物を楽しむことを目的の一つとして、毎回上京していたとも伝えられています。

晩年になると、河野孔明は『台湾守護会』と名乗って活動を行いました。この時期には、幟（のぼり）を立てた自転車を駆り、蒋介石への恩に報いることを街頭で訴えていたといわれています。

このように、河野孔明はその長い政治活動を通じて、右翼活動家、政治運動家、そして選挙候補者として、独特の存在感を放っていました。そのトレードマークの顎鬚やユニークな選挙戦術は、多くの人々の記憶に残るものでした。

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