河野省三

河野省三について

河野省三（こうの せいぞう）は、1882年8月10日に埼玉県加須市で生まれ、1963年1月8日に亡くなった日本の神道学者です。國學院大學の学長を務めたことでも知られています。号は紫雲。

生い立ちと教育

河野省三は、1882年（明治15年）8月、埼玉県北埼玉郡騎西町（現在の加須市）で、河野禄郎の次男として誕生しました。幼少期から学問に励み、1894年（明治27年）には騎西尋常小学校を卒業、1898年（明治31年）には騎西高等小学校を卒業しました。その後、1902年（明治35年）には私立埼玉中学校を卒業し、1905年（明治38年）には私立國學院師範部国語漢文歴史科を卒業しました。さらに、1908年（明治41年）には私立國學院研究科を修了しています。

神職としての活動

1905年（明治38年）11月には、郷社である玉敷神社の社司に就任し、神職としてのキャリアをスタートさせました。1946年（昭和21年）には、玉敷神社の宮司に就任し、地域の神道信仰を支えました。また、神社本庁では、顧問や長老といった要職を歴任し、神道界の発展に貢献しました。

教育者・研究者としての活動

1906年（明治39年）から1918年（大正7年）まで、私立埼玉中学校の教諭として教鞭を執りました。1915年（大正4年）には國學院大學の講師に就任し、1920年（大正9年）には教授に昇任しました。1935年（昭和10年）には國學院大學の学長に就任し、大学の発展に大きく貢献しました。研究者としては、「国学の研究」で文学博士の学位を取得するなど、神道や国学の研究に尽力しました。また、『国体の本義』の編纂委員（神道担当）を務めるなど、国家的なプロジェクトにも携わりました。

戦後

第二次世界大戦後の1946年（昭和21年）には國學院大學を退官し、玉敷神社の宮司に復帰しました。その後、公職追放となるものの、1951年（昭和26年）には解除されました。1952年（昭和27年）には、埼玉県神社庁長に就任し、1960年（昭和35年）までその職を務めました。また、國學院大學名誉教授の称号を授与され、大学院で講師を務めるなど、後進の育成にも力を注ぎました。1961年（昭和36年）には、長年の神道・国学研究の功績により紫綬褒章を受章しました。

晩年

晩年は、1962年（昭和37年）に神社本庁から鳩杖を贈られるなど、その功績を称えられました。1963年（昭和38年）1月8日、狭心症のため80歳で逝去しました。

著書

河野省三は、生涯にわたり多くの著書を執筆しました。主な著書には、以下のようなものがあります。

『神祇史要』(1915年)
『国民道徳史論』(1917年)
『国民精神之基礎』(1921年)
『神道大綱』(1927年)
『神道の研究』(1930年)
『国学の研究』(1932年)
『日本精神発達史』(1932年)
『神道学序説』(1934年)
『日本精神の研究』(1934年)
『本居宣長』(1937年)
『日本精神史講話』(1939年)
『神社神道』(1940年)
『神道文化史』(1940年)
『皇道の研究』(1942年)
『国学史の研究』(1943年)
『神道史の研究』(1944年)
『旧事大成経に関する研究』(1952年)
『一日本人の生活 或る教育者、宗教家、学徒の自叙伝』(1953年)
『近世神道教化の研究』(1955年)
『神道研究集』(1959年)
* 『日本の国体』(1962年)

これらの著書を通して、河野省三は神道と国学の普及に貢献しました。

河野省三は、神道学者、教育者として、日本の伝統文化の継承と発展に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

もう一度検索