河野通直 (弾正少弼)

河野通直（かわの みちなお）は、伊予国（現在の愛媛県）の戦国大名であり、河野氏の当主として知られています。

経歴

河野通直は、河野通宣の嫡男として生まれました。永正16年（1519年）に父が死去したことに伴い、家督を継承し河野氏の当主となります。天文9年（1540年）には、室町幕府の御相伴衆に加えられ、その地位を確立しました。

後継者問題においては、自身に実子がいなかったため、娘婿であり、水軍の頭領として有能であった村上通康を後継者に迎えようとしました。しかし、この動きは家臣団の強い反発を招き、また、予州家の当主である通存（みちまさ、河野通春の孫）との間で家督継承を巡る争いが発生しました。その結果、通直は通康とともに湯築城を退去し、来島城へと拠点を移すこととなりました。

その後、家督は通存の子である通政に譲られ、一時的に権力を失いましたが、通政が早世したため、河野家の実質的な当主として返り咲きました。しかし、その後の天文年間末期には、通政の弟である通宣とも家督を巡って争うこととなり、最終的には村上通康にも見捨てられる形で失脚したという見方もあります。

村上通康を巡る謎

興味深いことに、村上通康が実は河野通政であるという説も存在します。この説は、河野氏が来島城を訪問した時期が、通康の母の妊娠時期と重なっていることに着目しています。もし、通直が通康の母を見初め、妊娠させたとすれば、これらの出来事の辻褄が合うというのです。真相は定かではありませんが、この説は河野通直の生涯に一層の謎を投げかけています。

近年の研究

近年の研究では、通康と当主の座を争ったとされる通政（後の晴通）及びその弟である通宣は、ともに通直の実子である可能性が高いことが指摘されています。もしそうであれば、河野氏の家督争いは、より複雑な様相を呈していたことになります。

河野通直の生涯は、戦国時代の激しい権力闘争と、複雑な人間関係が織りなすドラマに彩られています。彼の足跡を辿ることは、戦国時代の伊予国における政治情勢や、河野氏という一族の盛衰を理解する上で重要な意味を持つと言えるでしょう。

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