河野高志

河野 高志（こうの たかし）氏は、1966年2月4日に東京都で生まれた、競技麻雀のプロ雀士です。現在は競技麻雀団体RMUに所属しており、団体内における最高位であるS級ライセンスを保持しています。RMUの設立に初期段階から深く関わった人物としても知られています。

プロ雀士としてのキャリアは、日本プロ麻雀連盟のプロテストに合格したことから本格的にスタートしました。連盟所属時代には、数々の主要タイトル戦で輝かしい成績を残しています。中でも特筆すべきは、伝統ある十段戦における三連覇という偉業です。また、麻雀マスターズでも二期連続で優勝するなど、当時の競技麻雀界でその実力を不動のものとしました。

2007年6月、河野プロは多井隆晴氏をはじめとする仲間たちと共に、新たな競技麻雀の普及・発展を目指す団体、RMUの設立に参画しました。団体設立当初から、RMU内で最もレベルの高いリーグであるRMUリーグ（現行の令昭位戦A1リーグ）に籍を置き、団体のトッププレーヤーとして活躍を続けています。令昭位を通算4期獲得しているほか、RMUクラウンも2期獲得するなど、RMUの主要タイトルを複数手にしています。近年では、Mリーグが主催する個人招待トーナメントである「Mトーナメント」に、所属団体の推薦選手として2023年、2024年と二年続けて出場。いずれの大会でも1stステージを突破しており、年齢を重ねてもなお、トップレベルで戦い続ける能力を示しています。

河野プロの現在の雀風は、緻密な押し引きの判断と、ここぞという重要な局面での卓越した勝負強さに大きな特徴があります。RMUを共に立ち上げた多井隆晴氏は、彼の麻雀について「限られた回数の中で結果を出すことが強く求められる場面で、特にその能力を発揮するタイプの雀士だ」と評しています。

しかし、現在の堅実なイメージとは異なり、プロ入りしたばかりの頃は、より攻撃的な雀風を前面に出していました。当時の公式プロフィールには、「まるで肉食獣を思わせるような圧倒的な攻撃力」と記されるほど、和了を追求するアグレッシブなスタイルでした。河野プロ自身も、過去には「和了を目指すあまり、守備が手薄になり、麻雀全体のバランスが崩れてしまうことがあった」と反省の弁を述べたことがあります。

実際に、人気麻雀対局番組である第7回モンド杯では、攻撃が裏目に出て大きなダメージを受ける対局が散見されました。予選第1戦でマイナス71.4ポイント、準決勝第9戦でマイナス63.5ポイント、そして決勝第4戦ではマイナス75.0ポイントという大敗を喫し、一時的には持ち点が箱下25000点を大きく下回るという厳しい場面もありました。このような劇的な対局内容は、視聴者に強い印象を与え、中には河野プロの華麗な和了よりも、スリリングな放銃シーンの方に注目し、期待するファンも現れました。本人の意図とは異なる形でファン層が広がったという、ユニークなエピソードも語り継がれています。これらの経験が、現在のバランスの取れた、深みのある雀風へと繋がっていると考えられます。

これまでに獲得した主なタイトルは以下の通りです。

十段位（第19期、第20期、第21期）
麻雀マスターズ（第6期、第7期）
令昭位（第5期、第12期、第13期、第16期）
RMUクラウン（第8期、第9期）
* 四神降臨王座決定戦優勝（2014年、2022年）

また、著書として『河野高志の麻雀 勝つならこう打て!』（毎日コミュニケーションズより2006年出版）があり、自身の麻雀理論や実戦的な戦術について解説しています。

河野高志プロは、長年のプロキャリアを通じて、単に競技者として優れているだけでなく、所属団体の設立や運営にも深く関わり、後進の育成にも貢献しています。過去の攻撃的なスタイルから現在のバランス型への進化は、彼の経験と探求心に裏打ちされたものであり、今後も競技麻雀界における重鎮としてその活躍が期待されるプロ雀士です。

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