油濁防止管理者

油濁防止管理者の役割と重要性

油濁防止管理者（ゆだくぼうしかんりしゃ）は、船舶における油の不正排出を防ぐために設けられた職務であり、特に総トン数200トン以上のタンカーにおいて必要とされています。この役職は、船舶の運行に関与する重要な職員であり、船長を補佐する形で油の管理業務を行います。

選任の必要性

総トン数200トン以上のタンカーでは、船長と一緒に船舶の油濁防止施策を監視するために油濁防止管理者を選任することが法律で義務付けられています。ただし、油の積替えが行われる場合でも、総トン数150トン以上の他のタンカー同士での積替え作業にはそれに特化した管理者が必要です。

油濁防止管理者の業務

油濁防止管理者は、船舶での油の取り扱いや排出に関する業務全般の管理を担当します。具体的には、乗組員や油を取り扱う作業員に対して油濁防止に関する規程を周知する責任があります。また、油の取り扱いや排出の記録を油記録簿に記載することが義務付けられています。もし油濁防止管理者が選任されていない場合、船長がその業務を引き受けます。

油の定義

ここでの「油」とは、原油、重油、潤滑油、軽油、灯油、揮発油など、国土交通省令によって定義された各種の油や油性混合物を指します。例えば、アスファルトや特定の炭化水素油に関してもここに含まれます。特に潤滑油や油性混合物は、環境保護の観点からも取り扱いには厳格なルールが適用されます。

油濁防止規程の適用

油濁防止管理者が必要とされる船舶には、主にタンカーや特定の条件を満たす400トン以上の他の船舶が含まれます。このような船舶には、国際航海に従事していない場合や係船中の船舶を除いて、定められた油濁防止規程が適用されます。

資格要件

油濁防止管理者になるためには、海技従事者の資格を持っていることが求められます。具体的には、通信や電子通信の海技士、小型船舶操縦士を除いた資格が必要です。また、STCW条約に基づく資格証明書を持つことも条件とされており、国土交通大臣の承認が必要です。さらに、油の取り扱いに関する実務経験が1年以上あることも重要な要件です。もしくは、国土交通大臣が規定する講習を修了していることが求められます。

まとめ

油濁防止管理者は、船舶からの油の適切な取り扱いを促進し、環境を保護するために不可欠な役割を果たしています。この役職に選任されることは、大きな責任を伴いますが、同時に海洋環境保護に貢献する重要な使命でもあります。船舶が適切な管理を行うためには、油濁防止管理者の存在が欠かせません。

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