軽油

軽油について

軽油（けいゆ）は、原油から生成される石油製品で、主にディーゼルエンジンに供給される燃料として広く利用されています。英文では「diesel fuel」と表記され、ディーゼル燃料とも呼ばれます。軽油は、原油を独特の方法で蒸留することによって得られる炭化水素の混合物で、通常180℃から350℃の沸点範囲を持ちます。主成分は炭素数10から20のアルカンで、精製された直後には無色ですが、出荷前にはエメラルドグリーンなどの色が添加されることが一般的です。

法規制と安全性

消防法によると、軽油は第4類危険物に分類され、引火性液体であるため取扱いには注意が必要です。具体的には、軽油の引火点は約45℃で、これはガソリンの引火点（約-40℃）と比較して高いため、一般的には安全とされています。しかし、環境条件によっては引火するリスクがあるため、常日頃から注意を払う必要があります。また、軽油の名称が「軽自動車用燃料」と誤解されることがありますが、実際には軽自動車にはディーゼルエンジンが搭載されていないため、ガソリンスタンドでは「軽油」ではなく「ディーゼル」と表示されることが多くあります。

用途

軽油の主な用途はディーゼルエンジンの燃料ですが、自動車（特に大型車）や鉄道、船舶での使用が最も多く、これらが軽油の消費量の95％を占めます。その他にも、建設機械や農業機械、さらには内燃力発電においても用いられています。軽油は高出力で燃費効率が良く、トラックやバスのような負荷のかかる車両に非常に適しています。また、日本においては、税金面でも軽油はガソリンよりもコストが低い利点があります。

日本の軽油は、輸出も行われており、自国での使用量が生成量を下回っているため、経済にも寄与する側面があります。特にディーゼル車の普及は、軽油の需要を引き上げる一因となっています。

品質基準

軽油はその用途に応じた品質基準が定められており、始動や燃焼の良好さを保つためにセタン価の高さが求められます。また、燃焼の均等性を図るための不純物の含有を避け、粘度が適切であることが重要です。日本における軽油の品質は、比重や残留炭素分、引火点などが規定されており、化学組成が厳密に管理されています。

特に、環境規制に応じた低硫黄化が進められており、現在では10ppm以下の硫黄分に抑えられています。この低硫黄化は、自動車の排出ガス規制に合わせた非常に重要な取り組みです。

冬季用軽油とプレミアム軽油

冬季には特に寒冷地用の軽油が求められ、通常の軽油を適宜差し替えます。例えば、3号軽油や特3号軽油などが販売され、寒冷地での運用に適した特性を持っています。さらに、プレミアム軽油として、燃料噴射系の清浄剤やセタン価向上剤が添加されたバリエーションも存在しますが、取扱店舗が限られているため、一般的な利用には向いていません。

軽油引取税と混和

軽油の取引には、軽油引取税という地方税が適用されます。この税はガソリン税とは異なり、運輸業界への配慮がなされており、税率は相対的に低く設定されています。また、燈油や他の燃料との混和には厳しい法律があり、許可を得た上でなければ行えません。これらの規制は、環境やエンジン機器の保護のために設けられています。

結論

軽油は多岐にわたる用途を持つ重要な燃料であり、特有の物理化学的特性や品質基準に基づいて管理されています。使用にあたっては、法規制や取り扱いに関する注意が必須ですが、その一方で経済や環境から見てもその重要性は高まっています。

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