治水共同社

治水共同社の設立と影響

治水共同社（ちすいきょうどうしゃ）は、木曽三川の治水事業を行うために1881年に片野萬右衛門によって設立された事業団体です。この組織は、地域の水害を防ぐために木曽川水系の改修に取り組むことを目的としていました。

背景

宝暦治水以降、約100年が経過した時期、薩摩藩による治水事業は、木曽三川下流域に多くの恩恵をもたらしていましたが、土砂の堆積が進む中で水害が頻発する事態に直面しました。このため、福束輪中で庄屋をしていた片野萬右衛門は、周辺7郡の代表者たちと協力し、「治水共同社」を設立しました。この組織は、そこで生活する人々の利益を考慮し、国や県に対して積極的に水系の改修工事を働きかけるための団体でした。

治水共同社の特徴は、80以上の輪中が集合して利害関係を超えて団結したことです。地域住民のみならず、多くの官僚からも支持を得ることができ、国の土木局長であった石井省一郎は、50円という大金を寄付するなど、その重要性を認識していました。

ヨハニス・デ・レーケの関与

この組織の取り組みは、オランダ人技師のヨハニス・デ・レーケを引き寄せることになります。彼は木曽三川水系の調査の途中で福束輪中を訪れ、片野萬右衛門は案内役を務めました。この機会に、彼は自身の治水事業の経験を基に大榑川の締め切りや、長良川と揖斐川の分流の重要性をデレーケに訴えました。当初、デレーケは「木曽川のみを分けるべき」と考えていましたが、最終的には三川の完全分流と輪中の排水が必要であると認識し、改修計画に反映させました。

このような過程があり、デレーケの近代技術に基づいた合理的な計画に従って、分流工事が着手されることとなりました。

萬右衛門の死とその後の展開

片野萬右衛門は1885年に没しましたが、彼の努力はその後も生かされました。彼は治水共同社の中心的な存在となり、木曽三川分流工事の実現に向けて多大な役割を果たしました。亡くなった後、彼の四男である片野篤二が第2代取締役に就任し、引き続き治水事業の推進に努めました。

歴代取締役

• - 初代: 片野萬右衛門
• - 2代: 片野篤二

治水共同社は、地域住民の協力と市民意識の高まりとともに、木曽三川の治水のための新しい道を開いた団体として歴史に名を刻んでいます。彼らの努力がもたらした成果は、水害を防ぎ、地域社会の発展に重要な役割を果たしました。

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