沼田元氣

沼田元氣は、日本の詩人、写真家であり、その活動は多岐にわたります。「ポエムグラファー（写真家詩人）」、「イコイスト」、「日本孤独の会々員」、「ひとり歩きの会々長」、「東京喫茶店研究所々長」など、自称の肩書きからも彼のユニークな個性が伺えます。愛称は「ヌマ伯父さん」で、これは映画監督ジャック・タチに由来します。

1980年代に前衛芸術家としてデビューした沼田は、盆栽を模した姿でパフォーマンスを行う「盆栽パフォーマー」として注目を集めました。その活動は国内に留まらず、アメリカに渡った際には、アンディ・ウォーホルのテレビ番組にも出演しています。また、音楽の分野では、岸野雄一らのニュー・ウェーブバンド「東京タワーズ」に一時参加するなど、ジャンルを超えた活動を展開しました。

1990年代からは、「憩（いこい）」、「観光」、「お土産」、「サンポロジィ」、「カフェロジィ」といったキーワードを軸に、写真や文章作品を発表しています。これらの作品には、彼の独特な視点や感性が反映されており、日常の中に潜む美しさや面白さを発見する喜びを私たちに教えてくれます。また、沼田の著作のカバーや帯には、「注文の多い著者より」、「本を買った後は、カバーや帯は取りはずしてください」という注意書きが添えられていることが多く、彼のユーモラスな一面を垣間見ることができます。

沼田は、アート・ディレクターとしても活動しており、ジャケットデザインや装丁の仕事も手がけています。そのデザインは、彼の作品と同様に、独創的で魅力的です。2009年からは、鎌倉で日本の伝統こけしとロシアのマトリョーシカ専門店「コケーシカ　KOKE-SHKA」を経営しています。さらに、2011年からは雑誌「こけし時代」を編集・発行し、こけしの魅力を広く伝えています。また、マトリョーシカの木地にこけしの絵柄を描いた「コケーシカ」や、こけしの木地にマトリョーシカの絵柄を描いた「マトこけし」を考案するなど、ユニークな発想でこけしとマトリョーシカの世界を広げています。

彼の弟子には、写真家の川島小鳥がいます。

沼田元氣の主な著書には、

『憩写真帖 全12巻』（青林堂, 1994）
『ぼくは盆栽』（福音館書店, 1995）
『えろもあ』シリーズ（ミリオン出版, 1996-1997）
『旅する少女の憩 箱根・湯河原篇』（京都書院, 1998）
『キティちゃんの夢のお散歩』（サンリオ, 1999）
『ぼくの伯父さんの東京案内』（求龍堂, 2000）
『ぼくの伯父さんの喫茶店学入門』（ブルース・インターアクションズ, 2001）
『水玉の幻想』（青山出版社, 2001）
『一杯の珈琲を飲むためだけに行きたくなる札幌・小樽カフェ喫茶店案内』（ギャップ出版, 2002）
『横浜おでかけガイドブック Le petit voyage avec mon oncle』（青山出版社, 2002）
『喫茶店百科大図鑑 ぼくの伯父さんのスクラップブック』（ギャップ出版, 2002）
『喫茶遺産 Photography of old Japan』（平凡社, 2002）
『東京スーベニイル手帖 ぼくの伯父さんのお買物散歩ブック』（白夜書房, 2003）
『Poemgraphy ささやき』（ブルース・インターアクションズ, 2004）
『京都スーベニイル手帖 ぼくの伯父さんの旅のお土産ブック 冬春編』（白夜書房, 2004）
『雲の上からの手紙 air mailカバーコレクション』（ブルース・インターアクションズ, 2005）
『雲の上の散歩 airline空港写真帖』（ブルース・インターアクションズ, 2005）
『京都スーベニイル手帖 ぼくの伯父さんの旅のお土産ブック 夏秋編』（白夜書房, 2005）
『Poemgraphy ほほえみ』（ブルース・インターアクションズ, 2005）
『鎌倉スーベニイル手帖 ぼくの伯父さんのお土産散歩ブック』（白夜書房, 2007）
『マトリョーシカ大図鑑』（二見書房, 2010）
『こけし時代』(こけし時代社 2011-2016)などがあります。

また、訳書にはジャック・タチ原作の『ぼくの伯父さんは、のんきな郵便屋さん』（平凡社, 2003）があります。

沼田元氣は、その多岐にわたる活動を通じて、私たちに新しい視点や発見を与えてくれる、魅力的なアーティストです。

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