求龍堂

求龍堂について

求龍堂（きゅうりゅうどう）は、日本の芸術専業出版社であり、東京都千代田区紀尾井町に本社を構えています。この出版社は1923年に石原龍一（本名：足立隆一）によって設立されました。当初の目標は絵画の販売および美術書籍の出版でした。求龍堂という名前は、著名な画家、梅原龍三郎が名付け親となっており、「求龍」という言葉は仏語の「CURIEUX」に由来し、芸術や知的な好奇心を追い求める姿勢を反映しています。さらに、名前には東洋の「龍」に理想を託え、東西を問わず優れた芸術書を出版するという理念が込められています。

出版におけるスタンス

求龍堂は、制作技術の粋を凝らした出版物を手がけ、「芸術書の求龍堂」として広く認知されています。また、会社の名前からもわかるように、ただ美術書を作るだけでなく、新しい価値を提案する書籍を提供し続けています。

主な作家とその作品

求龍堂は、数多くの著名な作家の作品集の出版も行っています。名付け親の梅原龍三郎をはじめ、東山魁夷、熊谷守一など、日本の大御所画家たちの作品が揃っています。他にも、小磯良平、中川一政、片岡球子、上村松園といった日本を代表するアーティストたちの作品集が発行されています。さらに、藤田嗣治や荻須高徳、山口薫、三岸節子といった作家たちも求龍堂のラインナップに名を連ねています。

文芸分野でも力を入れており、文学作品も手がけています。川端康成の小説や、白洲正子の随筆なども登場し、その内容の多様性を感じさせます。舞踊や染色、デザインに至るまで、多岐にわたる分野の著名な作家たちによる作品が多数存在します。特に、デザイナーの三宅一生や彫刻家のイサム・ノグチなど、海外からの著名作家の作品も紹介しています。

展覧会と関連事業

また、求龍堂は展覧会関連の事業にも積極的で、2017年には国立新美術館での「ミュシャ展」の公式図録を発行しました。このように、求龍堂は展覧会の公式書籍や図録などを手がける一方で、ポスターやチケット、企業カレンダーなどの企画制作も行っています。

さらに、『茶道名器鑑』や『マリー・ローランサン・カタログレゾネ』、さらには『松岡正剛 千夜千冊』など、大型出版物の制作にも携わり、幅広いジャンルで知識と美を結びつける役割を果たしています。

海外作品と翻訳書

海外作品にも力を入れており、翻訳小説がいくつかのベストセラーを生み出しました。特に、アーサー・ミラーの『十二番目の天使』や、ダフィー・ウィルソンの『青空のむこう』、アンジェラ・ストーンの『チョコレート・アンダーグラウンド』など、人気の高い作品を出版しています。これにより、求龍堂は日本国内外の著作を通じて多様な文化的対話を促進しています。

まとめ

求龍堂は、芸術と文化を通じて人々の知的好奇心を満たし、新しい価値を提供し続ける出版社です。今後も、さまざまなジャンルにおいて新たな作品を発信し、多くの読者に愛される存在であり続けることでしょう。

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