泉涌寺

泉涌寺について

泉涌寺（せんにゅうじ）は、京都市東山区泉涌寺山内町に位置する真言宗泉涌寺派の本山の寺です。東山または泉山という山号を持ち、釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒如来の三世仏を本尊として祀っています。この寺は皇室の菩提寺としても知られており、「御寺（みてら）」と呼ばれることもあります。さらに、楊貴妃観音堂は、洛陽三十三所観音霊場の第20番札所に指定されています。

歴史の流れ

泉涌寺の草創は平安時代とされていますが、その詳細は不明な点が多いです。伝承によると、斉衡3年（856年）、左大臣藤原緒嗣が自らの山荘に神修上人を開山として設立したことが始まりとされています。その後、法輪寺と名付けられたこの寺は、後に仙遊寺に改称されました。また、空海による草創説もあり、彼が天長年間（824-834年）にこの地で創設した法輪寺が起源であるとも言われています。これらを合わせると、平安時代初期に創建された寺院が、鎌倉時代に月輪大師俊芿によって再興されたと考えられます。

鎌倉時代の建保6年（1218年）、宇都宮信房が荒廃した仙遊寺を俊芿に寄付し、登堂した彼は多くの寄付を集めて大伽藍を造営しました。その際、霊泉が湧き出たため、寺名が泉涌寺に変更されたそうです。俊芿は宋から帰国し、寺院の建築様式や文化的要素に大きな影響を与えました。泉涌寺は律宗を中心に東密（真言宗）、禅宗、浄土の四宗を兼学する道場として栄えました。

後鳥羽上皇や土御門上皇、順徳上皇などの名前が挙げられるように、泉涌寺は皇室との結びつきを深めていきました。貞応3年（1224年）には後堀河天皇によって皇室の祈願寺と定められ、その後の歴代天皇の葬儀を行う重要な寺となりました。応仁の乱による被害を受けながらも、豊臣秀吉や徳川家康から寺領の認可を受け、さらに江戸時代には皇室との結びつきが強まることになります。

伽藍の構成

泉涌寺の入口である総門をくぐると、両側には多くの塔頭（山内寺院）が並んでいます。大門を越えた先に、楊貴妃観音堂と仏殿、舎利殿が見え、さらに霊明殿や皇室にゆかりのある建物群がそびえ立っています。仏殿は1668年に徳川家綱の援助で再建されたもので、内装には禅宗様式が取り入れられています。本尊の3体の如来像は、過去・現在・未来を象徴しています。

舎利殿には仏牙舎利や月蓋長者像など、貴重な仏像が収められています。河童の力強さを象徴した天井の雲龍図も見どころの一つです。霊明殿には歴代天皇や皇族の尊牌が安置されており、1884年に再建されました。

文化財と行事

泉涌寺は多くの国宝や重要文化財を有しています。中でも、俊芿自筆の泉涌寺勧縁疏や、楊貴妃観音像は特に価値があります。此外、毎年1月の第2月曜日には「泉山七福神巡り」の行事が開催され、多くの参拝者が訪れます。

まとめ

泉涌寺はその歴史、文化財、そして皇室との関係の深さから、京都の中でも特に重要な寺院の一つとなっています。観光客や歴史愛好者にとって、訪れる価値は十分にあります。毎年多くの人々が訪れるこの場所は、日本の文化と伝統を感じることのできる貴重な聖地です。

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