二酸化炭素泉

二酸化炭素泉：その特徴と効能、そして日本の現状

二酸化炭素泉は、温泉の分類において、1キロ[[グラム]]のお湯に1000ミリグラム以上の遊離炭酸（二酸化炭素）を含むものを指します。この含有量により、独特の温浴効果が期待できるため、療養泉として分類されています。

特徴：体感温度の上昇と多様なタイプ

二酸化炭素泉は、通常の温泉と比較して2～3℃体感温度が高く感じられるのが特徴です。そのため、37.5℃程度でも十分な温浴効果が得られます。旧来の名称である「単純炭酸泉」や、親しみを込めた「ラムネの湯」といった呼び名も広く使われています。

しかし、二酸化炭素の溶解度は水温に影響を受けるため、泉温によって炭酸ガスの濃度が大きく変動します。また、目に見える泡が付着しているものと、炭酸や炭酸水素イオンとして溶け込んでいるため泡が目立たないものとがあります。二酸化炭素の含有量が多いからといって、必ずしも純粋な二酸化炭素泉とは限りません。天然の温泉では、炭酸水素塩泉や含鉄泉などに分類される場合も多く、含鉄泉の場合は赤褐色を呈することもあります。二酸化炭素泉と炭酸水素塩泉の両方の性質を持つ温泉も存在します。

効能：多様な健康効果

二酸化炭素泉には、様々な健康増進効果が期待されています。ただし、これらの効能はすべての人に保証されるものではありません。

浴用: 一般的な適応症に加え、高血圧症、動脈硬化症、切り傷、やけどなどに効果があるとされています。

飲用: 慢性消化器病、慢性便秘などに効果があるとされています。

天然の二酸化炭素泉：希少な存在

天然の二酸化炭素泉は、世界的に見ても稀少な存在です。日本では、火山活動が活発で泉温が高いため、二酸化炭素が溶け込みにくいという地質学的要因から、その数は限られています。特に、炭酸水素ナトリウムや食塩などを含まない純粋な二酸化炭素泉となると、さらに数が減少します。大分県の白水鉱泉は、ほぼ炭酸成分のみの単純二酸化炭素泉として知られています。一方、大分県の長湯温泉は、単純二酸化炭素泉と炭酸水素塩泉の二つの泉源を持つという特徴があります。

対照的に、ヨーロッパ、特にドイツでは多くの二酸化炭素泉が湧出しており、バーデン＝バーデンやバート・ナウハイムといった有名な温泉地が存在します。

人工の二酸化炭素泉：技術革新と医療応用

近年では、ガスボンベの二酸化炭素を利用した人工の二酸化炭素泉の製造技術も発達しています。1997年には、1リットルあたり1グラム以上の遊離炭酸を含む人工炭酸泉を作る装置が開発され、2014年にはさらに高濃度の炭酸泉を生成する装置が開発されました。これらの技術により、「人工炭酸泉」を特徴とするスーパー[[銭湯]]などが登場しています。

高濃度炭酸泉治療による血液循環改善や、足浴による末梢動脈疾患（PAD）患者の下肢切断率低下や予後改善効果に関する報告もあり、人工炭酸泉の医療への応用も期待されています。「人工炭酸泉研究会」といった研究団体も存在し、その有効性に関する研究が続けられています。家庭用入浴剤の中には、二酸化炭素を放出して人工的な二酸化炭素泉の状態を作り出すものもあり、手軽にその効果を体験できます。

まとめ

二酸化炭素泉は、その希少性と独特の効能から、古くから人々に親しまれてきました。天然と人工の両面から研究開発が進み、今後もその利用範囲は拡大していくと予想されます。

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