法定速度

法定速度とは

法定速度とは、道路交通法によって定められた車両の速度制限のことです。道路標識などで特に指示がない場合、この法定速度が適用されます。法定速度には、超えてはならない法定最高速度と、下回ってはいけない法定最低速度があります。

法定最高速度

道路標識や道路標示による指定がない場合、一般道路における自動車の法定最高速度は60km/h、原動機付自転車は30km/hです。高速自動車国道の本線車道（対面通行でない区間）では100km/hと定められています。

ただし、故障車をけん引する車両や小型特殊自動車、リアカーをけん引する原動機付自転車など、特定の条件下では別途速度制限が設けられています。また、路面電車は軌道法により最高速度が40km/hに制限されます。

軽車両に関しては、法定最高速度は特に定められていません。

法定速度と制限速度の関係

法定速度と、道路標識によって指定される制限速度には、以下の3つの関係があります。

1. 原則： 制限速度が常に優先
道路標識による指定速度が、法定速度よりも優先されます。
2. 原動機付自転車などの場合： 引き上げのみ無効
標識で法定速度を超える速度が指定されていても、法定速度が適用されます。ただし、標識による引き下げは有効です。
3. 緊急自動車の場合： 引き下げのみ無効
標識で法定速度を下回る速度が指定されていても、法定速度が適用されます。標識による引き上げは有効です。（一般道路では80km/hまで）

最高速度の標識がない場合、自動車の法定速度は60km/hですが、自治体によっては「市内全域」などで最高速度40km/hといった区域規制が設けられている場合があります。このような区域内では、標識がない場合でも区域規制の速度が適用されます。

一般道路における法定速度

一般道路の制限速度は、実勢速度を基に決定されますが、法定速度は特に意識されていません。ただし、一般道路の多くは走行速度60km/hを目標に設計されており、基準速度の上限は法定速度と同じ60km/hに設定されています。

国土交通省の調査によると、法定速度（60km/h）について、免許所持者の約77%が「今のままでよい」と回答しています。

設計速度が60km/h以上で、立体交差化などの条件を満たす道路では、「自動車の通行機能を重視した構造の道路」として、一般道路でも80km/hまでの速度指定が可能です。

高速道路における法定速度

高速道路（高速自動車国道および自動車専用道路）の制限速度は、道路構造令の設計速度を基に決定されます。法定速度100km/hの高速自動車国道、および法定速度60km/hの自動車専用道路ともに、上限120km/hで制限速度が決定されます。

法定速度の改正

法定速度は、法令の改正によって変更されてきました。

1960年：道路交通法制定、上限60km/hの法定速度が制定
1963年：高速自動車国道で上限100km/hの法定速度が制定
1992年：大型貨物自動車、自動二輪車（総排気量250cc以下）の法定速度が50km/hから60km/hに引き上げ
2000年：自動二輪車、軽四自動車の高速自動車国道の法定速度が80km/hから100km/hに引き上げ
2026年9月1日（予定）：生活道路の法定速度が30km/hに引き下げ

法定最低速度

法定最低速度は、道路標識などで特に指示がない場合において、下回って走行してはいけない速度です。高速自動車国道の本線車道のみに定められており、対面通行区間を除く本線車道では50km/hです。

法定速度に関する注意点

高速自動車国道において90km/h以上（自動車専用道路では100km/hを含む）の最高速度を指定する場合、大型貨物やけん引自動車など、高速自動車国道での法定最高速度が80km/hである車両に対して、80km/hの最高速度を指定する必要があります。これは、最高速度のみを指定した場合、法定最高速度が異なる車両すべてに同じ速度制限が適用されてしまうためです。

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