法服貴族 (フランス)

法服貴族とは

法服貴族（ほうふくきぞく）は、古典的なフランス語で「Noblesse de robe」と呼ばれる階級で、アンシャン・レジームの下において独自の地位を築いています。彼らは司法や行政の官職を通じて貴族としての身分を得ることができ、特に影響力を持った集団として知られています。この階級は、一般的な貴族が持つ特権や爵位とは異なり、官職そのものが直接的に貴族の地位を授けるわけではありませんでしたが、実際には官職と特別な階級が密接に結びついていました。

法服貴族の地位とその取得

法服貴族になるためには、主に大学での教育を受け、官職を購入することが一般的でした。地位を得るために必要なローブやガウンは、学位授与式の際に着用されるものであり、「ローブの貴族」と呼ばれる由来となっています。かつては国王への奉仕の対価として与えられた官職が、次第に金銭で売買されることが常態化しました。この慣行はポーレット法によって制度化され、官職を相続するためにはポーレット税が義務づけられていました。一部の家系では、法服貴族としての地位が世襲され、特に長男はこの地位を受け継ぎ、次男以下は僧侶になるというケースが一般的でした。

法服貴族は、帯剣貴族（軍事的特権を有する貴族）とは異なり、時に下に見られることがありました。しかしながら、特に高等法院の司法官たちはその地位と権力から平等を求めて争う場面もありました。

地位の獲得とその変化

法服貴族の地位は比較的容易に得られるものでしたが、17世紀には高等法院の評議員の官職が10万リーブルで販売されていたのに対し、18世紀中頃には官職の供給が増えることでその価格は半分に減少しました。そのため、かつての特権階級は新規参入者を制限し、階級意識が芽生えていきました。

国王が財政難を解決するために大量の官職を製造しようとした際、法服貴族は強く反発しました。この結果、司法関連の官職から貴族の地位を得ることはほとんど不可能になり、他の官職の販売が続きました。例えば、「国王秘書参事官」に就任すれば即座に貴族の地位が得られることが可能であり、20年後には子にその権利を移譲することも認められていました。しかし、これらの官職は形式的であったために、既存の貴族からは軽蔑されました。

啓蒙主義との関係

法服貴族は、フランスの啓蒙主義の発展に寄与し、多くの初期の思想家と結びついていました。特に、シャルル・ド・モンテスキューのような人物はこの層から出ており、法服貴族の持つ知識や思想は社会に大きな影響を与えました。しかし、1790年には革命によって高等法院や下級裁判所が解体され、法服貴族の地位は失われることとなります。

このように、法服貴族はフランス社会において特異な地位を占め、官職を通じて築かれた社会的な存在と言えるでしょう。彼らの役割と影響は、特にアンシャン・レジームの時代において重要な意味を持っていました。

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