法眼晋作

法眼晋作の生涯と業績

法眼 晋作（ほうげん しんさく、1910年2月11日 - 1999年7月24日）は、日本の外交官として長いキャリアを持ち、重要な役職を数多く歴任した人物です。和歌山県の出身で、耐久中学や第六高等学校を経て、東京帝国大学法学部を卒業後、外務省に入省しました。彼の外交官としてのキャリアは、ドイツ語の研修からスタートし、その後、さまざまな国での歴任を経て日本の国際社会における地位を確立しました。

経歴の概略

外務省に入省後、法眼は欧米局外務参事官としての経験を積み、次第に重要なポジションに昇進していきました。彼は、ベルリン総領事やオーストリア大使、さらにはインド特命全権大使を含む多くの要職を担いました。1972年には外務事務次官に就任し、その後も外務省顧問としての役割も果たしました。さらに、1974年には国際協力事業団の初代総裁に任命され、日本の国際援助活動において重要な役割を果たしています。

法眼はまた、1975年にはラプラタ川流域諸国経済使節団の副団長として訪問し、経済的関係の構築にも寄与しました。彼は日本戦略フォーラムや国策研究会、財団法人アジア刑政財団などの団体でも指導的な役割を果たし、1980年には勲一等瑞宝章を受章するなど、その功績が評価されています。

国内外での影響力

法眼晋作は、特に対ソ外交において長年にわたり強固な反共・反ソ主義者として知られていました。在ソ連大使館に勤務していた時には、日ソ国交回復交渉にも関与し、その立場から多くの外交的決定に影響を与えました。1970年代初頭の米中接近の際には、反共の立場から台湾（中華民国）との国交を維持すべきだと主張し、その立場を貫きました。この姿勢は、当時の日本の外交において非常に重要なものであり、彼の思想が外交政策に直接影響を与えたことは明白です。

加藤紘一に対して大平正芳を紹介したのも法眼であり、彼の人脈形成能力や影響力は非常に高いものでした。

著作活動

法眼は数々の著作も残しており、特に外交政策や国際関係についての考察をまとめた著書が多くあります。代表的な著作には『日本の外交戦略』（1981年）、『外交立国論――世界に通用する日本への道』（1982年）、『日本人にとってソ連は危険国家だ』（1984年）、『外交の真髄を求めて――第二次世界大戦の時代法眼晋作回顧録』（1986年）などがあります。これらの著作は、法眼の外交における洞察や考え方を理解するための貴重な資料となっています。

家族と人間関係

法眼晋作の家族もまた外交に関わる人物が多く、息子には外交官として活躍した法眼俊作や法眼健作がおり、その後者は国際連合事務次長として国際的な役割を果たしました。また、孫の竹中治堅は政治学者としての名声を持ち、政策研究大学院大学の教授を務めています。さらに、法眼の二女の夫には外交官として駐米大使を務めた加藤良三がいるなど、法眼家は外交界に広範な影響を及ぼしています。

最期の時

法眼は1999年7月24日に89歳で多臓器不全のため亡くなり、叙正三位を受けました。彼の生涯は、日本の外交史における重要な一部を成し、その業績は今なお多くの人々に影響を与えています。

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