法華津峠

法華津峠について

法華津峠（ほけつとうげ、またはほけづとうげ）は、愛媛県の宇和島市と西予市の間に広がる標高436mの峠です。この峠は市の境界を形成し、昔から交通の要所として知られていました。かつては宇和島と宇和を隔てる厳しい難所でしたが、現在ではトンネルの開通により、道路と鉄道交通が大幅に改善されています。特に国道56号線とJR予讃線がこの峠を利用しています。

峠の地理的特徴

法華津峠は、四国百名山の一つである高森山（635m）の西側斜面に位置しています。今では国道56号線や予讃線のトンネルを通るため、峠を越えることは非常にスムーズになりました。トンネルの南口からは、宇和島市街方面へと滑らかに下っていきます。

かつての国道56号は旧道として残っており、峠の登り口で新国道と分かれて、曲がりくねった昔ながらの景色を楽しむことができます。峠の近くには、西村清雄の詩を刻んだ歌碑が設置されており、歴史を感じさせてくれます。峠周辺は、みかん畑や雑木林が点在し、特に秋にはみかんの実が色づく壮大な景観を見ることができます。

さらに、峠の近くからは、法花津湾や遠くの宇和海が美しく見渡せ、多くの観光客を惹きつけています。また、新しい国道の両側には、広がるみかん畑があり、みかんが実る季節には特に印象的な風景が広がります。宇和島側に近い予讃線では、春先になると菜の花が一面に咲く美しい光景も見ることができます。

峠の歴史

法華津峠の歴史は、戦国時代にさかのぼります。当時、宇和の伊予西園寺氏に仕える法華津氏が城を構え、父子で大友氏を迎え撃った場所として知られています。この峠は、歴史的な戦いの舞台でもありました。

明治時代には、白浦（現宇和島市吉田町白浦）の旧庄屋である赤松則忠が自費でトンネルの工事を計画しましたが、残念ながらその計画は実現しませんでした。実際にトンネルが完成したのは、約100年後の1970年（昭和45年）のことです。このトンネルの開通により、峠は交通の便が大幅に改善されました。

交通路

法華津峠を通る路線は、国道56号とJR予讃線で、それぞれ複数のトンネルが連続しています。国道56号の峠越え区間には10個のトンネルがあり、特に宇和島市側は急勾配が続いています。一方、予讃線の峠越え区間は9個のトンネルが存在し、ここでも宇和島市側の坂は四国の鉄道で最も急な勾配とされており、松山方面へ向かう列車はここで速度を落とさざるを得ません。

法華津峠は、自然美と歴史が詰まった非常に魅力的な場所であり、地域の交通網における重要な役割を果たしています。

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