法鏡寺廃寺跡

法鏡寺廃寺跡について

法鏡寺廃寺跡（ほうきょうじはいじあと）は、大分県宇佐市大字法鏡寺に存在する古代の仏教寺院の遺跡です。1978年3月14日には国の史跡に指定され、歴史的な価値が認められています。

寺院の歴史

この寺院は、飛鳥時代後期にあたる白鳳期に創設されました。680年に制定された官大寺の制度の下、法鏡寺は大官大寺（のちの大安寺）、薬師寺、法興寺、川原寺（弘福寺）などの官寺と共に、国から保護を受けていました。奈良時代には、宇佐地方において虚空蔵寺や法鏡寺、弥勒寺、四日市廃寺、小倉池廃寺などの多くの寺院が建ち並び、宗教や学問、文化の中心地として栄えていました。

法鏡寺は、特に宇佐地方の大寺院として重要な位置を占めており、同地域で最も古い寺院の一つであるとされています。この寺院は、宇佐神宮の神宮寺として創建された弥勒寺を除けば、宇佐氏、辛嶋氏、大神氏など宇佐地方の有力豪族によって造営されたものと考えられています。法鏡寺廃寺は、古代の辛島郷の中心に位置しており、辛嶋氏がその創建に関わったと推測されているのです。

平安時代中期には一度寺院が途絶え、その後、南北朝時代までに復興が試みられましたが、明治維新の際に行われた廃仏毀釈により、弥勒寺と共に法鏡寺も廃寺となりました。

遺構と発掘調査

法鏡寺廃寺は、虚空蔵寺跡から駅館川沿いに下流へ約2.5キロメートル位置した西岸の河岸堤防の上にあります。周囲は耕地や宅地として開発されていましたが、1970年代に行われた調査により、その重要性が認識され、国の史跡としての認定を受けたことで、土地の公有化が進められました。2022年度にはこの場所を緑地公園として整備する計画も進行しています。

これまでの発掘調査によって、中門、金堂、講堂などの遺構が見つかりました。これらの遺構から、法鏡寺は法隆寺式の伽藍配置を有していたことが推測されています。出土した瓦の年代を考慮すると、創建時の大規模な伽藍が存続したのは平安時代初期までの比較的短い期間であったと考えられています。

金堂については、基壇の広がりから推測するに、東西約14.6メートル、南北約11メートルと比較的小規模だったとされています。講堂はさらに大きく、東西約30メートル、南北約17メートルで、北側には幅2.2メートルの廊下があったと考えられています。中門の位置からは基壇の一部が確認されていますが、塔や廻廊に関する詳細な確認はできていない状態です。

まとめ

法鏡寺廃寺跡は、日本の仏教文化を語る上で欠かせない重要な遺跡であり、その歴史や遺構に触れることで、さらに深い理解が得られます。今後の発掘調査や整備を通じて、その価値がさらに広がることが期待されています。

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