波二百一型潜水艦

波二百一型潜水艦

波二百一型潜水艦（はにひゃくいちがたせんすいかん）は、大日本帝国海軍が開発した沿岸型の小型潜水艦の艦級であり、別名「潜高小型」とも呼ばれています。この艦は、連合国の対潜戦能力の向上に伴う日本の潜水艦の被害が増加してきたため、その対策として設計されました。特に、水中での高速性能を重視しており、1944年のマル戦計画のもとに建造されました。

開発の背景と設計

1938年に設計されたこの潜水艦は、1941年まで試験された水中高速実験潜水艦第71号艦や、甲標的といった他の潜水艦の開発経験に基づいています。太平洋戦争の終息が迫る中、日本本土の防衛が最重要となっていました。この状況において、海龍や蛟龍といった小型潜水艇が次々と開発されましたが、これらの艇は排水量や船体のサイズから航洋性や行動性能において限界がありました。

そのため、波二百一型潜水艦は、航洋性や行動能力が高く、さらに資源が乏しい状況下で大型潜水艦よりも資源を節約できる設計が求められました。当初は750トンや500トンの設計案もありましたが、量産性や資源の制約が要因で、最終的には320トンに抑えられました。

設計の特長

波二百一型潜水艦の設計には、船体の抵抗を減少させる工夫があり、流線形が採用されました。また、ドイツから導入された高張力鋼ST52による全溶接船体やブロック建造方式が採用され、効率的な建造が実現されました。全艦は1945年に完成しましたが、日本本土決戦に備えて保全されたため、実戦には投入されることはありませんでした。終戦時には、完成した艦は10隻、未完成艦が29隻ありました。計画の段階では追加で40隻の建造が予定されていました。

特徴と性能

この艦は、極力の抵抗低減を目的に設計され、艦橋の形状や艤装も簡素化されていました。水中での速力や航続性能にも優れていましたが、特に水中での運動性能や操縦性能に重点が置かれていました。これにより、急速潜航が15秒以内で達成できるという高い性能を誇りました。

主機として、中速400型ディーゼルエンジン（400馬力）が使用され、また、伊二百一型と同様に特E型電動機（1250馬力）が1基搭載されていました。推進方式は1軸で、縦舵や横舵は推進器の前方に配置されていました。

潜水隊の変遷

波二百一型潜水艦は、初期に建造された4隻が第33潜水隊に、波205は第六艦隊第11潜水戦隊に編入されました。第33潜水隊所属の波201、波202、及び波205の3隻は第52潜水隊を編成し、横須賀鎮守府に配備されました。その後、終戦までに新たに竣工した艦も第52潜水隊に編入されました。これらは大戦末期に建造されたため、実戦に就くことはなく、訓練中に終戦を迎えました。

結論

波二百一型潜水艦は、日本の海軍が小型潜水艦に求めた高速性能と行動能力を兼ね備えた艦級であり、戦局の変化に応じて開発された例の一つです。その特異な設計哲学と実戦に投入されなかった背景から、この艦は日本の潜水艦の戦歴の中でユニークな位置を占めています。

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