波止場だよ、お父つぁん

波止場だよ、お父つぁん

「波止場だよ、お父つぁん」は、1956年11月15日にリリースされた美空ひばりのシングルです。この曲は、ひばりが横浜出身ということもあり、彼女が数多く歌ったマドロス歌謡の一つとして知られています。数あるシングルの中でも売上枚数は8位を記録するほどの大ヒットとなりました。1998年時点での日本コロムビアの調査によると、シングル売上は100万枚に達しています。

この曲が発売された翌年の1957年には、島倉千代子の「東京だョおっ母さん」が150万枚の大ヒットを記録しました。この曲のタイトルは、「波止場だよ、お父つぁん」を聴いた島倉が、同様の歌を歌いたいと願ったことから名付けられたと言われています。美空ひばりと島倉千代子は、プライベートでも親交が深く、ひばりは島倉を妹のように可愛がっていました。また、両曲とも作曲は船村徹が担当しています。

しかし、「波止場だよ、お父つぁん」は、ひばりの他の代表曲と比較すると、テレビやラジオでの放送機会が少なくなっています。これは、1番の歌詞に「年はとっても、盲でも」という、差別的とも解釈できる「盲（めくら）」という言葉が含まれているためです。そのため、ひばりの回顧番組などでもこの部分はカットされることが多く、また、ひばりの死後、他の楽曲がレコードやCDのアルバムに収録された音源をカップリングしたシングルとして再発売されることが多いのに対し、この曲はベスト盤への収録やシングルとしての再発売が基本的に行われていません。ただし、オリジナル盤は復刻されており、ダイソーで発売されたCD『美空ひばり (8) 港町十三番地/哀愁出船』には収録されています。そのため、現在では、ひばりが歌唱している音源を入手することが難しい状況にあります。また、カラオケでも1番は演奏されず、2番と3番のみが演奏されるのが一般的です。

詩人で部落解放運動家の寺本知は、詩や歌における「めくら」という言葉の使用について、安易に使うべきではないと指摘しています。特に歌の中では、その言葉が差別的に使われていないか、また、その言葉を使う必要性が本当にあるのかという2点を考慮すべきだと述べています。

収録曲

1. 波止場だよ、お父つぁん
作詞：西沢爽、作曲・編曲：船村徹
2. 初恋小鳩
作詞：石本美由起、作曲・編曲：船村徹

カバー

ちあきなおみ（ライブアルバム『ふりむけば二昔半/船村徹作曲生活25周年記念リサイタル』収録）
都はるみ（アルバム『美空ひばりを唄う』収録）

もう一度検索