港町十三番地

港町十三番地：美空ひばりの不朽の名曲

1957年、美空ひばりによって発表された「港町十三番地」は、日本の音楽史に刻まれた名曲です。この曲は、ひばりが愛したマドロスソングの一つとして知られ、彼女の故郷である神奈川県横浜市と川崎市の街並みを背景に、ノスタルジックで情景豊かな歌詞が特徴です。

川崎港町と十三番地：偶然の産物と歌碑

楽曲タイトルの「港町」は、ひばりの所属レコード会社、日本コロムビアの本社・工場があった川崎市川崎区港町に由来しています。しかし、実際の工場所在地は九番地であり、十三番地ではありませんでした。作詞家の石本美由起氏は、語呂の良さから「十三番地」を採用したとされています。

この偶然の産物ともいえる「港町十三番地」は、地元川崎と深い繋がりを持つようになりました。2013年には、京浜急行電鉄大師線港町駅に歌碑が建立されました。ひばりの等身大像、手形、サイン、レコードジャケットがデザインされ、ボタンを押すと歌声が流れる仕組みになっています。駅構内には音符オブジェやメロディー譜も設置され、まさに「美空ひばり一色」の駅となっています。さらに、同駅では接近メロディーにも「港町十三番地」が採用されています（編曲：塩塚博）。

歌詞に描かれる横浜の風景

歌詞に描かれる情景は、横浜の街並みを彷彿とさせます。「銀杏並木の敷石道」は山下公園、「マドロス酒場」は馬車道あたりの酒場をイメージしていると言われています。これらの具体的な描写が、聴く者に親近感を与え、時代を超えて愛される理由の一つと言えるでしょう。

記録的大ヒットと数々のカバー

「港町十三番地」は、1957年のコロムビア年間チャートで1位を獲得するなど、発売当時から大ヒットを記録しました。1998年時点でのシングル売上枚数は、日本コロムビア調べで約100万枚に達しています。

その人気は現在まで衰えることなく、多くのアーティストによってカバーされています。香西かおり、椎名林檎、さだまさし、水樹奈々など、世代を超えたアーティストたちが「港町十三番地」を独自の解釈で歌い継いでいます。NHK連続テレビ小説「てるてる家族」「あまちゃん」でも使用され、幅広い世代に親しまれています。

曲の構成とカップリング

当初のSPレコード、45回転レコードでは、「伊豆の乗合バス」がカップリング曲として収録されていました。1991年にはシングルCDとして発売され、カップリング曲が「あの日の船はもう来ない」に変更されました。作詞は石本美由起、作曲・編曲は上原げんとが担当しています。

まとめ：時代を超えて愛される理由

「港町十三番地」は、美空ひばりの歌声、石本美由起の詩情豊かな歌詞、上原げんとによる美しいメロディー、そして川崎・横浜の街並みを背景としたストーリーが三位一体となって、時代を超えて愛され続ける名曲となっています。その人気は、単なるヒット曲の枠を超え、日本の音楽文化における一つの象徴として存在感を示しています。 歌碑建立や接近メロディー採用など、地元との強い繋がりも、この楽曲の持つ魅力をさらに深めています。これからも多くの人々に歌い継がれ、未来へと受け継がれていくことでしょう。

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