泥棒成金

映画『泥棒成金』について

『泥棒成金』（どろぼうなりきん）は、1955年に公開されたアメリカのロマンティック・スリラー映画で、アルフレッド・ヒッチコックが監督を務めています。この作品は、ケーリー・グラントとグレース・ケリーが主演し、パラマウント映画によって製作されました。また、デイヴィッド・ドッジの1952年の小説を基に脚色されています。

ストーリーの概要

物語の主人公はジョン・ロビー。彼はかつて「猫（The Cat）」と呼ばれ、裕福な人々からしか盗まない独自の美学を持つ有名な宝石泥棒でした。彼は過去に警察に捕まり、収監されたこともありましたが、戦争中に脱走し、レジスタンスと共に戦った経験から英雄視されます。このため、彼は実質的に恩赦を受け、現在はリヴィエラで無事な生活を送っています。

しかし、平穏な日々に突如として影が差し込みます。高級リゾート地リヴィエラでは、彼の名を冠した手口による連続泥棒事件が発生するのです。上流階級の貴婦人たちが自慢の宝石を失い、その背後にはかつてのジョン・ロビーの影がちらついていました。これが直ちに噂となり、警察はジョンの元へと向かいます。

逃亡と潔白の証明

身の危険を感じたジョンは逃げ出し、かつての仲間たちに助けを求めますが、彼らは彼が再び泥棒行為に手を染めたと疑います。ジョンは全く無実であることを証明しようと、真犯人を探し始めました。彼は保険会社に勤めるヒューソンと接触し、新たな泥棒が狙いそうな宝石の情報を入手します。

ジョンは偽名を使い、社交界に潜入することを決意。彼が選んだ獲物は、富裕層のスティーヴンス家母娘で、2人が持つ宝石の数々です。ところが、警戒しても泥棒は巧みに行動を続け、スティーヴンス夫人の宝石を奪ってしまいます。娘のフランセスはジョンを非難し、彼が名高い泥棒「猫」である疑いを持つようになります。

妙な罠と展開

状況が深刻化する中、ジョンはある晩餐会での罠を仕掛けることが肝要だと考えます。これは、さまざまな富豪たちが集まる場で、真犯人を捕えるチャンスを生むものでした。物事が進展する中、黒幕が明らかになり、ついにジョンの潔白が示される瞬間が訪れます。

ヒッチコックの独自の監督技術

『泥棒成金』は、ヒッチコックの映画技術、特に軽快なストーリーテリングと緊張感のバランスが光る作品です。彼が初めて手がけたワイドスクリーン映画としても知られ、パラマウントが開発したビスタビジョンで撮影されています。

評価と影響

映画が公開されると、批評家たちからは高い評価を受け、Rotten Tomatoesで94%という高評価を得ています。また、Metacriticでは82点という好評を得ました。特に、ケーリー・グラントとグレース・ケリーのコンビネーションが称賛されています。

なお、グレース・ケリーは公開翌年にモナコ公国のレーニエ大公と結婚し、彼女の人生においてこの映画は特別な位置付けを持つこととなりました。

もう一度検索