泥火山

火山とは、地下深部の粘土が、地下水やガスなどとともに地表や海底に噴出し、円錐状に堆積した地形と、その現象のことを指します。火山の名前がついていますが、一般的な火山活動とは異なり、マグマの噴出を伴いません。泥火山の噴出物は、溶岩に比べて非常に低温であり、特にメタンハイドレートなどの炭化水素が多く含まれる場合は、噴出物の融点に近い低温になることがあります。

噴出する場所によっては温泉とともに噴出したり、酸性や塩分の高い地下水とともに噴出するケースもあります。噴出のメカニズムとしては、地中深くの帯水層に高圧がかかり、その上にある浸透率の低い粘土層を破壊することで、地表に噴出すると考えられています。噴出物に含まれるガスの大部分はメタンですが、二酸化炭素窒素なども含まれています。

火山の形状は様々で、数メートル程度の小さな丘から、直径10km、高さ700mにも及ぶ巨大なものまで存在します。突発的に噴出し、周囲を泥で覆ってしまうこともあります。泥火山は、油田地帯や沈み込み帯の周辺に多く分布しており、カスピ海周辺やアゼルバイジャン黒海沿岸、インドネシア、日本、台湾、アラスカ、カリフォルニア、メキシコなど、世界各地に点在しています。地表や浅い海底には約1,100箇所の泥火山が確認されており、深海には1万を超える泥火山が存在すると考えられています。

主な泥火山

新冠泥火山(日本・北海道新冠町
松代泥火山(日本・新潟県十日町市)
ゴブスタン泥火山群(アゼルバイジャン
シドアルジョの泥火山インドネシア東ジャワ州シドアルジョ県)

火山は、地球内部の活動を観測する上で重要な手がかりとなります。また、メタンハイドレートなどの資源が豊富に埋蔵されている可能性も指摘されており、今後の研究が期待されています。

関連事項

熱水噴出孔
ブラックスモーカー
メタンハイドレート
鍋立山トンネル - 鉄道トンネル建設後に泥火山を貫通していたことが判明した事例
坊主地獄/鬼石坊主地獄 - 小規模な熱泥噴出孔を観光地化した例

外部リンク

Cold water mud vocanoes created by artesian pressure in Minnesota's Nemadji River basin
Bulletin Of Mud Volcanology Azerbaijan Academy Of Sciences (In English)
Gaia's Breath—Methane and the Future of Natural Gas - USGS, June 2003
Azeri mud volcano flares - October 29 2001 BBC report
Redondo Beach mud volcano with methane hydrate deposits
Hydrocarbons Associated with Fluid Venting Process in Monterey Bay, California
Hydrothermal Activity and Carbon-Dioxide Discharge at Shrub and Upper Klawasi Mud Volcanoes, Wrangell Mountains, Alaska - U.S. Geological Survey Water-Resources Investigations Report 00-4207
Mud Volcano Eruption at Baratang, Middle Andamans
Article on mud volcanoes from Azerbaijan International
Mud volcano floods Java, August 2006
Mud volcano work suspended, 25 Feb 2007, Al Jazeera English

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