洗髪設備義務化条例

洗髪設備義務化条例について

洗髪設備義務化条例（りようじょびようじょせんぱつせつびぎむかじょうれい）は、日本国内の理容所や美容所に洗髪設備の設置を義務付けるための規則です。しかし、理容師法や美容師法には具体的な洗髪設備の設置義務が明記されておらず、厚生労働省は地方自治体の判断に委ねています。

制定の背景と経緯

この条例は一部の都道府県や保健所設置市区で、理容所や美容所に対して「理容所・美容所では流水式の洗髪設備を設けること」という内容が盛り込まれています。2020年4月に10の道県で洗髪設備が義務化されたことを契機に、2015年1月時点では31の都道府県でこの条例が施行されており、一部の保健所設置市区でも導入されています。

たとえば、長野県では理容師法施行条例や美容師法施行条例の改正により、理容および美容の事業者に衛生上の観点から、作業場内に温水を供給可能な洗髪設備の設置が求められています。
ただし、条例施行時点で既存の店舗には洗髪設備の設置義務は課されませんが、条例施行後に新規開店した店舗には設置義務が生じることになります。

業界の声と問題点

最近では、格安ヘアカット専門店が全国に増加していることから、全国理容生活衛生同業組合連合会が中心となり、各地の理容団体が「衛生面の観点からも洗髪設備が必要である」と提言し、条例の制定を地方自治体に訴えています。しかし、群馬県で行われた調査によれば、洗髪設備の有無によって衛生状態に明確な差は見られなかったことが明らかになっています。

これに対して、「衛生実態調査の結果、洗髪設備の有無が衛生状態に影響しない」という指摘をする者もいます。こうした意見は、既存業界が持つ既得権益を守るために、洗髪設備を持たない新興の格安チェーン店を排除しようとしているとの批判につながっています。

条例の限界と今後の展望

さらに、条例が施行されても洗髪設備の設置が義務付けられるだけで、実際に顧客に対して洗髪を提供することが義務化されるわけではありません。これにより、洗髪設備を設けたとしても、洗髪を行わない格安ヘアカット専門店が事業を展開する可能性もあり、そのために条例の必要性についての議論も続いています。

このように、洗髪設備義務化条例は理容・美容業界における衛生管理の向上を狙いとしていますが、現実の運用や業界の意見が複雑に絡み合っており、今後の動向には注目を集めています。

関連項目

• - 10分間カット
• - 理容師法 / 美容師法
• - 既得権 / 圧力団体 / ロビー活動

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