津山市営阿波バス

津山市営阿波バス

概要

岡山県津山市の阿波地域において、かつて運行されていた自治体バスです。地域公共交通を担っていた中鉄バス路線の廃止を受け、その代替手段として阿波村営バスが発足し、津山市への合併に伴い市営バスとなりました。道路運送法に基づく自家用有償旅客運送（白ナンバー）の形態で運行され、津山市があばグリーン公社に業務を委託していました。地域住民の生活を支える重要な交通手段でしたが、2024年3月1日に運行を休止しました。

成立と沿革

津山市営阿波バスの前身である阿波村営バスは、1975年に運行を開始しました。これは、同年に廃止された中鉄バスの阿波方面路線に代わる地域公共交通として設けられたものです。当初より地域住民の重要な足として機能しました。

村営バス時代の特徴として、1995年7月には外観をレトロなボンネットバス風に改造した日産・シビリアンが導入され、「クラシックバス」として親しまれました。

2005年2月28日、阿波村が津山市に編入されたことに伴い、村営バスの事業は津山市に引き継がれ、「津山市営阿波バス」と名称を改め、市営バスとして新たな歩みを始めました。

市営化後の2011年4月1日には、阿波地域のスクールバス運行が津山市営阿波バスに統合され、便数が増加しました。同時に、運賃体系が乗車区間に応じた区間制に変更され、それまで無償だった65歳以上の高齢者も有料化されるなど、利用条件が改定されました。

長年、阿波地域の公共交通を担ってきた津山市営阿波バスですが、2024年3月1日、津山市が導入したAIデマンド交通「のるイコつやま」の運行開始に伴い、その役割を終え、運行を休止しました。

運行内容

津山市営阿波バスは、主に二つのルートで運行されていました。一つは、阿波地域内の大杉公会堂前を起点に、阿波出張所前を経由し、JR因美線の美作河井駅を結ぶルートです。もう一つは、美作河井駅からさらに因美線の知和駅前を経由し、加茂地域まで足を延ばすルートで、加茂小学校前、加茂支所前を経て、終点のめぐみ荘に至りました。

特に加茂地域方面へ運行する便は、めぐみ荘において、津山市中心部やイオン津山店方面へ向かう「ごんご加茂線」との接続が図られており、地域住民が市内の主要施設へアクセスするための連携が考慮されていました。

運賃体系は、乗車区間に応じて運賃が変動する区間制が採用され、運賃は50円単位で設定されていました。子ども、具体的には小学生以下の子どもに対しては、大人の半額運賃が適用され、計算結果の10円未満の端数は切り捨てられました。運行は平日のみで、土曜日、日曜日、祝日などの休日は運休となっていました。

使用車両

津山市営阿波バスとして運行されていた期間に使用された主な車両は、10人乗りのトヨタ・ハイエースワゴンでした。地域内の比較的狭い道路にも対応できる車両でした。一方、阿波村営バス時代には、前述の通り、特徴的なボンネットバス仕様の日産・シビリアン（クラシックバス）が使用され、村のシンボル的な存在として親しまれました。

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