津川力

津川 力（つがわ ちから）

1973年5月1日生まれ、東京都出身。かつてはプロ野球選手（外野手）としてグラウンドに立ち、現在は日本プロ野球機構（NPB）の審判員として活躍する異色のキャリアを持つ人物である。審判員としての袖番号は「22」を着用している。

アマチュア時代

野球との出会いは早く、小学3年生の頃に東京都内の新宿リトルリーグで硬式野球を始めた。その後、父の勧めで高知県の野球名門校、明徳義塾中学校へ進学。中学3年生の夏には、チームの中心選手として遊撃を守り、打線でも中軸を担う活躍を見せ、四国大会での優勝に貢献した。

明徳義塾高校へ進んでからも野球を続け、3年生となった1991年の夏には、第73回全国高等学校野球選手権大会に出場。甲子園の舞台、特に1回戦の市岐阜商業高校戦では、鮮烈な2本塁打を放つ活躍で、一躍スカウトや野球ファンの注目を集めた。この印象的なプレーが評価され、同年のNPBドラフト会議において、ヤクルトスワローズから4位指名を受けた。

プロ野球選手時代

1992年にヤクルトスワローズへ入団し、プロ野球選手としての第一歩を踏み出した。背番号は入団当初が「35」（1992年 - 1995年）、その後「55」（1996年 - 1999年）に変更している。選手としては主にイースタン・リーグ（二軍）でのプレーが中心となったが、1997年には打率.324、15本塁打、34打点という優れた成績を残し、イースタン・リーグの首位打者のタイトルを獲得している。しかし、選手層の厚かった当時のヤクルトにおいて、一軍での出場機会は限られ、残念ながら1999年シーズン終了後に球団から戦力外通告を受けた。現役続行を目指し、オリックス・ブルーウェーブ、西武ライオンズ、横浜ベイスターズといった他球団の入団テストを受けたが、いずれも合格には至らず、プロ野球選手としてのキャリアを終えることとなった。

選手としての一軍公式戦での記録は以下の通りである。
初出場・初先発出場: 1997年9月30日、対中日ドラゴンズ戦（ナゴヤドーム）、8番・右翼手で先発出場。
初打席: 同上、3回表に対戦投手・山本昌から放った内野フライ。

NPB審判員時代

プロ野球選手を引退した後、津川氏はグラウンドの裏側から野球を支える道を選び、2001年にパシフィック・リーグの審判部へ入局した。審判員袖番号は、入局から2010年まで「22」、2011年から2013年まで「29」を着用し、2014年からは再び「22」を使用している。

審判員としての公式戦初出場は、2001年10月2日、千葉マリンスタジアムで行われた千葉ロッテマリーンズ対日本ハムファイターズの試合で、三塁塁審を務めた。

順調にキャリアを重ね、2005年にはプロ野球オールスターゲームに初めて出場。第1戦では球審、第2戦では塁審を務めた。オールスターゲームにはこれまでに3回（2005年、2013年、2022年）出場している。

さらに、プロ野球最高峰の舞台である日本シリーズにも数多く出場している。初の日本シリーズ出場は審判員となってわずか8年目の2008年で、第4戦で球審を務めた。経験年数10年未満での日本シリーズ出場は当時としては異例の早さであり、審判員としての高い評価を示すものと言える。これまでに日本シリーズには計7回（2008年、2010年、2017年、2019年、2020年、2022年、2023年）出場している。

長きにわたりグラウンドに立ち続け、節目の記録も達成している。2012年5月16日には、東京ヤクルトスワローズ対福岡ソフトバンクホークス戦（神宮球場）で球審を務め、通算1000試合出場を達成。そして、2023年4月1日には、埼玉西武ライオンズ対オリックス・バファローズの2回戦（ベルーナドーム）で球審を務め、史上65人目となる通算2000試合出場という偉大な記録を成し遂げた。

審判員としての活動は国内に留まらず、2017年に開催された第4回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）では、韓国・ソウルで行われた1次ラウンドA組の4試合で国際審判員としてグラウンドに立っている。一方で、2016年のセ・リーグクライマックスシリーズファイナルステージ第4戦では、テレビ解説者からストライクゾーンに関する判定について言及される場面があったり、2018年8月9日の試合でボールカウントを間違える不手際があり、NPBから厳重注意を受けたりするなど、審判としての難しさや厳しさを経験した出来事もある。

これまでの功績は表彰によっても認められており、審判員奨励賞を2度（2010年、2017年）、優れた判定に贈られるファインジャッジ賞を1度（2016年）受賞している。

2024年シーズン終了時点で、NPB公式戦の通算出場試合数は2213試合に達しており、今後もベテラン審判員として数々の名勝負を見守り続けることが期待されている。

詳細情報

背番号

35（1992年 - 1995年）
55（1996年 - 1999年）

審判出場記録

初出場: 2001年10月2日、ロッテ対日本ハム28回戦（千葉マリンスタジアム）、三塁塁審。
2000試合出場: 2023年4月1日、埼玉西武ライオンズ対オリックス・バファローズ2回戦（ベルーナドーム）、球審（史上65人目）。
通算出場試合数: 2213試合（2024年シーズン終了時）。
オールスター出場: 3回（2005年、2013年、2022年）。
日本シリーズ出場: 7回（2008年、2010年、2017年、2019年、2020年、2022年、2023年）。

表彰

審判員奨励賞：2回（2010年、2017年）
* ファインジャッジ賞：1回（2016年）

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