津田秀夫

津田秀夫：近世日本史研究の巨匠

津田秀夫（1918-1992）は、近世日本史研究において重要な役割を果たした歴史学者です。東京教育大学名誉教授として後進の育成に尽力し、関西大学教授としての活動でも知られています。その研究領域は近世史に留まらず、社会経済史や教育史にも及び、多角的な視点から日本の歴史を解明することに貢献しました。

生い立ちと教育

1918年、大阪府で生まれた津田は、1942年に東京文理科大学を卒業しました。卒業後は岐阜県の中津農林学校教諭となりましたが、軍務のため一時職を離れ、終戦後に復員。その後、大阪第一師範学校、大阪学芸大学などで教鞭をとりながら、研究活動に励みました。1953年には東京教育大学助教授に就任し、1962年には「封建経済政策の展開と市場構造」で文学博士号を取得。1974年には教授に昇格しました。1978年に東京教育大学を退官後も、関西大学教授として教壇に立ち、1989年の定年退職後も同大学院で教鞭を執り続けました。1992年、膵臓癌のため逝去しました。

研究内容と業績

津田秀夫の専門は日本史、特に近世史です。近世日本の社会構造や経済、政治、そして文化に関する多様な研究成果を残しました。近世社会経済史、教育史、幕藩体制など、多岐にわたるテーマに取り組む中で、独自の視点と深い洞察力を示しました。既存の研究を踏まえつつも、独自の分析手法を用いて、近世日本の歴史像を鮮やかに描き出しました。その研究成果は、数々の論文や著書として発表され、後世の歴史研究に大きな影響を与えています。

津田秀夫文庫

津田秀夫が生涯にわたって収集した膨大な史料は、関西大学博物館に「津田秀夫文庫」として収蔵されています。約4000点にも及ぶ古文書、和本、絵図、記録類、印刷物などは、室町時代から明治時代までの幅広い時代をカバーしています。特に、摂津、河内、和泉といった畿内近国を中心とした近世の地方文書が豊富に含まれており、近世日本の地方社会研究にとって貴重な資料となっています。これらの史料は、歴史研究者にとってかけがえのない資源であり、津田秀夫の研究活動だけでなく、今後の歴史研究の発展にも大きく貢献するでしょう。

主要著作

津田秀夫は、単著だけでなく、多くの共編著や記念論文集も編集・執筆しました。代表的な著書として以下が挙げられます。

『封建経済政策の展開と市場構造』（学位論文）
共編著：『日本歴史 シンポジウム 13 幕藩制の動揺』
編著：『解体期の農村社会と支配』『近世国家の解体と近代』『近世国家の展開』『近世国家の成立過程』『近世国家と明治維新』
責任編集：『図説大阪府の歴史』
共監修：『コンサイス日本人名事典』
記念論文集：『封建社会と近代 津田秀夫先生古稀記念』

これらの著作は、近世日本史研究の重要な文献として広く活用され、その学問的貢献は高く評価されています。

記憶を継承して

津田秀夫の研究と、彼が収集した貴重な史料は、現在も関西大学博物館に保存され、後世に引き継がれています。彼の業績を偲び、今後の歴史研究の発展に貢献していくことが重要です。永井芳和氏や岩城卓二氏による回顧録なども、津田秀夫という人物像とその研究活動を知る上で貴重な資料となっています。 これらの資料を通じて、津田秀夫の研究活動とその歴史的意義を深く理解し、未来へと繋げていくことが重要です。

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