津軽順承

津軽 順承（つがる ゆきつぐ）の生涯

津軽順承は、江戸時代後期に活躍した大名であり、陸奥黒石藩の2代藩主、後に陸奥弘前藩の11代藩主としてその名を知られています。彼は三河国吉田藩の松平信明の五男として生まれました。幼名は新之助で、初名は信寛と呼ばれていました。

幼少期と藩主就任までの道のり

文政4年（1821年）6月5日、彼は黒石藩の津軽親足の養子として迎えられ、名前を邦足に改めます。文政7年（1824年）には11代将軍・徳川家斉に拝謁し、文政8年（1825年）には親足が隠居したことに伴い、藩主としての職務を引き継ぎました。これにより彼は従五位下・左近将監に叙任され、同年12月には本家の弘前藩主である津軽信順から偏諱を受け、順徳という名前を名乗ることになります。

藩政改革と名君としての評価

津軽順承は、天保時代の大飢饉や信順時代の浪費による藩財政の困窮を受け、積極的な改革に取り組みました。彼は名君であった津軽信明に諭され、5か条の倹約令や、30か条の経費節減の実施、人々の生活の向上を図るための新田開発、荒地の復興、さらに貯蓄制度を整備して凶作に備える取り組みを行いました。

また、洋式軍備の強化、大砲の鋳造、海防警備の強化など、国を守るための施策にも力を入れました。学問の振興にも意欲的で、医学館や蘭学堂の設置を通じて知識の普及を図り、渋江抽斎を起用したことでその名を広めます。これらの活動から、順承は名君としての評価を得ていきました。

蝦夷地警固とその後の生活

安政2年（1855年）には、蝦夷地の警固を命じられ、宗谷に藩兵を派遣するなど、藩の安全を守るための活動も行いました。この際、ビタミンB1不足による浮腫病（ニコチン酸欠乏症）の防止策としてコーヒー豆を支給するなど、独自の対策を講じることでも知られています。

安政6年（1859年）には、婿養子の承昭に家督を譲り隠居することを決め、長楽庵という号名で暫らくの間、俳句に親しみます。「梅翁」という俳号を名乗るようになり、晩年は俳句の世界に身を投じることとなりました。彼の人生は、1865年2月5日に66歳で幕を閉じました。

系譜と後継者

津軽順承の家系は非常に興味深いもので、彼の父は松平信明であり、母は千枝という女性です。養父は津軽親足であり、正室には泉姫、側室には清瀬がいました。子供たちの中には津軽承祜や津軽承昭が存在し、これらの子供たちもまた藩政に関与していきます。津軽承昭は弘前藩の12代藩主となり、津軽承保は黒石藩の第3代藩主に名を連ねました。

まとめ

津軽順承の生涯は、藩の財政再建や治世の向上に尽力した名君として記憶されています。彼の取り組みは今日でも語り継がれ、弘前藩では津軽信明と並ぶ人物として評価されています。彼の墓所は東京都台東区上野桜木の津梁院にあり、その功績が歴史に長く残るものとされています。

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