津軽承昭

津軽承昭：激動の時代を生き抜いた最後の弘前藩主

津軽承昭は、江戸時代後期から明治・大正時代前期にかけて活躍した大名、そして華族です。従一位伯爵の位階爵位に叙せられ、陸奥国弘前藩の第12代にして最後の藩主、初代にして最後の藩知事を務めました。その生涯は、時代の大きな変化を反映した波乱に満ちたものでした。

熊本藩出身から弘前藩主へ

承昭は熊本藩主・細川斉護の四男として江戸で生まれ、当初は細川護明と名乗っていました。しかし、安政4年（1857年）、弘前藩第11代藩主・津軽順承の婿養子となり、津軽家を継ぎました。津軽順承の偏諱を受けて津軽承烈と名乗り、後に承昭と改名しています。家督を相続した後は、藩政改革に尽力し、特に洋式軍備の増強に力を注ぎました。

戊辰戦争とその後

明治元年の戊辰戦争では、当初は新政府に属していましたが、後に奥羽越列藩同盟に参加しました。しかし、その後、中央政府の情勢の変化を受け、官軍に与し、箱館戦争などで功績を挙げました。その功績が認められ、戦後には1万石の加増を受けました。明治2年には版籍奉還により知藩事となり、明治4年の廃藩置県によって免官となるまで、藩主として、そして知事として、その役割を果たしました。廃藩置県後は東京に移り住み、明治11年には麝香間祗候を命じられ、明治17年には伯爵に叙せられました。

華族としての活動と晩年

伯爵位を得た後も、承昭は社会的に重要な役割を担いました。第十五国立銀行の取締役を務めるなど、経済活動にも関与していました。私生活では和歌の才能にも優れていたと伝えられています。大正5年（1916年）、77歳で生涯を閉じました。跡を継いだのは養子の津軽英麿（近衛忠房の次男）です。実子の津軽楢麿は分家し、男爵位を得ています。承昭の血筋は、ひ孫にあたる正仁親王妃華子まで繋がっています。

遺産と影響

承昭は、初代藩主津軽為信以来、代々受け継がれてきた名刀「友成」を高照神社に寄進しました。現在、この太刀は高岡の森弘前藩歴史館に収蔵されています。また、承昭の軽井沢別荘は、「神言会軽井沢修道院」として現存しており、彼の家族も使用していたと推測されています。承昭の生涯は、激動の時代を生き抜いた1人の大名、そして華族としての物語として、現在も語り継がれています。彼の功績は、現代の私たちに、歴史の重みと、時代の変化への対応の難しさ、そして、それを乗り越える人々の力強さを伝えています。

家族

父：細川斉護
母：青木甚之助の娘
養父：津軽順承
正室：常姫（津軽順承の四女）
継室：津軽尹子（近衛忠煕の六女）
側室：多津、阿弥
子女：津軽楢麿（次男、男爵）、津軽理喜子、津軽寛子
養子：津軽英麿（近衛忠房の次男）

栄典

従一位
伯爵
* 大日本帝国憲法発布記念章

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