洪震

洪震：大韓民国臨時政府大統領として活躍した独立運動家

洪震（ホン・ジン、1877年～1946年）は、大韓民国の独立運動において重要な役割を果たした人物です。両班の家に生まれた彼は、幼少期を鳳根、またウボンという名前で過ごしました。1896年には南相福と結婚、その後は法曹界を目指し、1903年には法官養成所に入学。卒業後、法官に任命されますが、わずか二日で免職されるという経験もしています。

その後も、漢城平理院主事や忠清北道検事などを務めますが、義兵事件の論告を拒否したことで1908年に免職。弁護士として平壌で開業するなど、波乱に満ちた経歴を歩みます。

1919年の三・一独立運動では、清州郡の連絡責任者として重要な役割を果たしました。運動後、李圭甲とともに上海へ亡命。この際に、名を洪鎮から洪震へと改名します。

上海では、大韓民国臨時政府の設立に深く関与。李東寧への国務総理就任の打診や、臨時政府国内調査委員、臨時議政院委員長などを歴任しました。さらに、上海大韓僑民団長や大太平洋会議外僑後援会代表人幹事長なども務め、海外での活動にも力を注ぎました。

しかし、太平洋会議に関する責任を問われ、一時的に臨時政府の職を離れる時期もありました。1924年には江蘇省鎮江市で隠居生活を送りますが、1926年、臨時議政院で大統領に選出され、翌日に就任。洪震政府を正式に発足させました。

大統領在任中は唯一党運動に尽力しましたが、同年12月には大統領を辞任。その後も、韓国独立党や新韓独立党、民族革命党などの創党に関わり、韓国光複運動団体連合会結成にも尽力するなど、独立運動活動を継続しました。

臨時政府においては、議長や国務委員、内務長などの要職を歴任。常に政府の中枢で活躍し、独立運動を支え続けました。しかし、1944年には国務委員選出方式をめぐる与野党の対立の中で、無記名投票法に賛成したことをきっかけに、韓国独立党を離党。新韓民主党を結成し、最後まで独立運動に身を捧げました。

1945年、日本の降伏後には、金九などと共に上海から帰国。帰国後は、非常国民会議の議長に選出され、韓国の新たな出発に向けて尽力しました。しかし、1946年9月9日、心臓喘息のため70歳で死去。生前、南相喆の勧めにより洗礼を受け、「アンドレア」の洗礼名を持っていました。

明洞聖堂で葬儀が行われ、その後、数度の移葬を経て、現在はソウルの国立墓地内にある臨政随伴墓所に埋葬されています。洪震は、韓国の独立運動史に大きな足跡を残した、重要な人物と言えるでしょう。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた独立運動家のドラマチックな軌跡を示しています。

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