活きる

映画『活きる』

『活きる』（原題：活着）は、1993年に発表された余華（ユイ・ホア）の同名小説を原作とする、1994年公開の中国映画です。監督は張芸謀（チャン・イーモウ）が務めました。主演は葛優（グォ・ヨウ）で、妻役を鞏俐（コン・リー）が演じ、激動の時代を生き抜く夫婦の姿を力強く描いています。

概要

この映画は、1940年代の国共内戦、1950年代の大躍進政策、そして1960年代の文化大革命という、中国が経験した激動の3つの時代を背景に、一組の家族がどのように時代に翻弄されながらも生き抜いていくのかを丁寧に描いています。原作小説から大幅な変更が加えられており、多くの登場人物が生き残る展開となっています。政治的なメッセージに偏ることなく、家族の視点から世相を映し出すことで、普遍的な人間の強さや生命力を描いた作品として、国際的にも高い評価を受けました。カンヌ国際映画祭では審査員特別賞と主演男優賞を受賞し、BAFTA賞では非英語部門の最優秀映画賞を獲得しました。しかし、政治的な理由により、本国中国では一時上映が禁止されました。

ストーリー

物語は、1940年代、ギャンブルに明け暮れる放蕩息子の福貴（フークイ）が、妻の家珍（チアチェン）の忠告も聞かず、ついに家財を失うところから始まります。家屋敷を失ったことが原因で父親が急死し、母親も病に倒れてしまいます。福貴はギャンブルを辞め、真面目に働こうと決意し、失った家屋敷を取り戻そうとしますが、その代わりに影絵芝居の道具を借り、一座を組んで巡業に出ます。しかし、その最中に国民党軍に徴用されてしまい、過酷な戦場を経験することになります。戦場では、同じく徴用された春生（チュンション）や老兵・全（ラオチュエン）と出会い、生きるための知恵と勇気を学びます。終戦後、故郷に戻った福貴は、家族との再会を喜びますが、母親は既に亡くなっており、娘の鳳霞（フォンシア）は高熱の影響で言葉を失っていました。かつて家を奪った龍二（ロンアル）が人民裁判にかけられ、処刑されるのを見た福貴は、自分がそうならなかったことに安堵します。

1950年代に入ると、大躍進政策により、人々は鉄を供出し、共同で食事をする生活を送るようになります。口のきけない娘の鳳霞は近所の子供にいじめられ、弟の有慶（ヨウチン）は姉を守ろうと立ち向かいます。その結果、有慶は事故で命を落とします。事故を起こした区長は、かつての福貴の相棒である春生でした。春生は償いをしようとしますが、家珍は受け入れません。

1960年代、文化大革命が始まります。影絵人形を焼却処分せざるを得なくなった福貴は、娘の鳳霞に縁談が持ち込まれます。相手は労働者階級の二喜（アルシー）という男でした。鳳霞は二喜と結婚しますが、出産時に病院で医療ミスにより命を落としてしまいます。春生は資本主義者として失脚し、絶望して自殺を試みますが、福貴夫婦の励ましで思いとどまります。

物語の最後で、福貴の孫である饅頭（マントウ）が登場し、福貴夫婦は子供たちの墓参りをします。厳しい時代の中、それでも力強く生きる家族の姿を描いて物語は終わります。

登場人物

福貴（フークイ）：葛優（グォ・ヨウ）演 - 檀臣幸（吹替）
ギャンブル好きの放蕩息子だったが、時代の変化と共に様々な苦難を経験し、家族を守るために生きる男。
家珍（チアチェン）：鞏俐（コン・リー）演 - 佐々木優子（吹替）
福貴の妻。夫のギャンブル癖に悩みながらも、どんな時も家族を支え続ける強い女性。
町長：牛犇（ニウ・ベン）演 - 多田野曜平（吹替）
福貴一家の面倒を見るが、後に資本主義者として疑われてしまう人物。
春生（チュンション）：郭涛（グオ・タオ）演 - 佐久田修（吹替）
福貴の影絵芝居の相棒。後に区長となるが、悲劇的な運命を辿る。
二喜（アルシー）：姜武（ジアン・ウー）演 - 咲野俊介（吹替）
鳳霞の夫となる労働者階級の男。
龍二（ロンアル）：倪大宏（ニー・ダーホン）
福貴の賭博仲間で、後に地主として人民裁判にかけられる。
老全（ラオチュエン）：李連義（リー・リエンイー）
戦場で福貴・春生と行動を共にする老兵。
鳳霞（フォンシア）
福貴と家珍の娘。言葉を失っている。
有慶（ヨウチン）
福貴と家珍の息子。
饅頭（マントウ）
福貴の孫。饅頭は魔除けの幼名。
王（ワン）先生
産科医。

外部リンク

活きる - allcinema
活きる - KINENOTE
To Live - オールムービー（英語）
* huó zhe - IMDb（英語）

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