活水中学校・高等学校

長崎県長崎市宝栄町に所在する活水中学校・高等学校は、カトリックではなくプロテスタント系（メソジスト派）の私立女子校です。中学校・高等学校が連携した中高一貫教育を提供しており、中学校からの内部進学者はもちろん、高等学校からの入学試験を経て入学する生徒も受け入れています。明治時代の開港期、1879年（明治12年）に設立された活水は、日本の近代女子教育において草分け的な存在であり、特に西日本においては最も歴史の長いミッションスクールの一つとして知られています。

教育の特色と理念

建学以来、キリスト教の精神に基づいた教育を実践しており、スクール・モットー「知恵と生命との泉 - 主イエス・キリスト - に掬べよ」に象徴されるように、豊かな人間性と知性を育むことを目指しています。教育理念としては、「隣人を思いやる愛を持った女性」、「個性豊かな女性」、「品位と知性あふれる女性」の育成を掲げています。

高等学校には複数の学科・コースが設けられています。普通科には、難関大学進学を目指す特別進学コース、多様な進路に対応する総合進学コース、そして音楽の専門的な学びを深める普通科音楽コースがあります。また、かつては英語教育に特化した英語科も設置されていましたが、こちらは2026年（令和8年）3月をもって廃止される予定です。卒業生の約3割は、同じ活水学院に属する活水女子大学へ進学しています。

歴史の歩み

活水の歴史は、1879年にアメリカメソジスト監督教会婦人外国伝道協会の宣教師、エリザベス・ラッセルが長崎で設立した女学校に始まります。当初は数名の生徒で出発しましたが、次第に発展し、1881年には聖書の言葉にちなんで「活水女学校」と名付けられました。1887年には初等科から高等科、さらに神学科や音楽科など多様な学部を持つ総合教育機関へと発展しました。関東大震災後の1926年には、当時珍しかった鉄筋コンクリート造の校舎が建てられています。学制改革を経て、1947年に新制中学校、1948年に新制高等学校が発足。1951年には現在の宝栄町にあるキャンパスに移転しました。その後も時代に合わせて学科やコースを新設するなど、教育内容の充実を図りながら、2009年には創立130周年を迎えました。

学校の象徴

校章は、キリスト教の象徴である十字架の中心に、校名の一文字である「活」を配したデザインです。校歌は相沢照子が作詞し、オリーブ・カリーが作曲したもので、4番まであります。

被爆校舎の記憶

現在の宝栄町キャンパスの敷地は、かつて鎮西学院が使用していました。その場所に建っていた活水高校の旧1号館は、第二次世界大戦中の原子爆弾投下によって被害を受けたものの、修復されて長年使用されていました。この建物は1998年に長崎市から「被爆建造物」として指定され、その歴史的価値が認められていましたが、建物の老朽化や耐震性の問題から、学校側は取り壊しを決定しました。これに対し、被爆遺産としての保存を求める声も上がりましたが、最終的に2011年に解体されることとなりました。最後の卒業式が旧1号館で行われ、その後解体工事が始まりました。解体作業中には、敷地の地下から戦時中の防空壕跡が発見されています。現在、旧1号館の跡地は芝生広場として整備され、校舎の外壁の一部が保存されています。発見された防空壕跡は安全確保と費用の観点から埋め戻されましたが、将来的にその存在を示す計画があります。

その他

活水中学校・高等学校は、女優の安寿ミラ氏、声優・俳優の湯屋敦子氏、衆議院議員の西岡秀子氏など、演劇、声優、政治、文学、登山など、幅広い分野で活躍する著名な卒業生を多数輩出しています。
交通アクセスとしては、長崎電気軌道の大学病院停留場から徒歩圏内、または長崎バスの活水下バス停からすぐの場所に位置しています。

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