流行性羊流産

流行性羊流産（Enzootic Ovine Abortion）

流行性羊流産は、Chlamydophila abortusという細菌によって引き起こされる感染症であり、主に羊に影響を及ぼします。この病気は、流産や死産を引き起こすことが特徴で、特に妊娠中の母羊においてその影響が顕著です。流行性羊流産は日本の家畜伝染病予防法で指定された届出伝染病の一つであり、国内の羊を育てる農家にとって重要な衛生上の課題となっています。

感染経路と病理

この病気は、感染した羊の胎盤組織などを介して他の羊に広がることがあります。具体的には、汚染された飼料や水源を通じて感染が広がることが多いです。感染が成立すると、胎盤炎を引き起こし、これが流産や死産をもたらす原因となります。流行性羊流産は感染の進行が早く、特に繁殖期における感染のリスクが高まるため、注意が必要です。

症状と診断

流行性羊流産に感染した母羊には、特に以下の症状が見られます:

• - 妊娠後期における流産や死産
• - 発情が正常でない場合の頻発
• - 体重減少や虚弱状態

これらの症状が見られた場合、獣医師による診断が重要です。診断は、血液検査や胎盤、 aborted fetus の病理検査を基に行われます。流行性羊流産と類似の症状を呈するビブリオ症（Vibriosis）との鑑別が必要となるため、専門的な診断が求められます。

予防と対策

流行性羊流産の予防には、まず飼育環境の清潔が不可欠です。感染が広がるリスクを最低限に抑えるために、飼料や水源の管理を徹底することが重要です。また、通常のワクチン接種や健康診断の実施も予防策として有効です。感染が確認された場合は、早急に隔離処置を講じ、感染の拡大を防ぐ必要があります。

まとめ

流行性羊流産は、羊に特有の重要な感染症であり、経済的影響も大きいものです。予防と早期の発見が、羊の健康と農業経営の安定に寄与します。農場での衛生管理の徹底が、流行性羊流産の防止に重要な役割を果たすことを理解し、飼育者はその知識を生かして対策を講じることが求められます。この病気に関する正しい知識の普及が、羊の健康を守る第一歩となるでしょう。

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